黒髪の少女。

□終焉の呪い
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「貴女を閉じ込める場所じゃない?
それは一体どういう意味です?」

「…」

光が一つもない部屋で、ルシュリユは黙り込んだ。
言葉を選びながら、ヴォルフラムは聞いた。

「ご主人様とやらは、お前をどうしたいんだ?」

「…私がいけなかった。」

そういって、また部屋の隅でうずくまってしまった。

「…ルシュリユは、いつもそう…いつも誰かが助けてくれた。
あの時は…私が…

強がっても、結局私は、羨ましがっていただけなのね。

信頼できる何かを…家族を欲しがってた。」

ルシュリユは流暢に大人びた返事をする。
小さな体に閉じこもり、怯える少女が発する言葉ではない。

「何を言っている、ルシュリユ。
僕たちはもう家族ではないか。」

ヴォルフラムはルシュリユの肩を掴んだ。
普段なら痛いと言って泣くかもしれない。
か細い声を出すかもしれない。

「…ヴォルフラムさんや、みんなと一瞬でも家族になれた。

沢山酷いことしたのに、それでも私たちを探し出してくれた。

私に皆さんの家族になる資格はないんです、幸せを望んではいけなかった。
あの牢獄から出ようとした私が、馬鹿だったんだわ…。

だから…」

ルシュリユはヴォルフラムの手を振り払い、立ち上がった。

「私は、ここから皆さんを外に出す義務があります。
もともと、死ぬ運命だった魂を…皆さんとこの子の為に使いましょう。」

一方的に、ルシュリユが話すと。
魔術で閉じられていたはずの扉が開く。

「進みます。何も考えないで下さい。」
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