黒髪の少女。

□終焉の呪い
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私は随分と長く眠っていたようです。
鈍痛が頭部に残って、とても体が重たい。

「…ここは一体…」

随分と暗く、窓が一つもないという、悪趣味極まりない牢獄のような部屋でした。
冷たい石の床が、私の体温を奪っていきます。

「…閉じ込められましたか。」

ヴォルフラムとここまで来ましたが、どこにいるのでしょう。
がさ

「ん?これは…人?」

「ん…誰だっ?」

この声はヴォルフラム!

「ヴォルフラム!!私です!」

「ギュンターか?ここはどこだ!」

「分かりません…」

真っ暗で、多少の視界はあるものの、まったく周りが見えない。
この部屋の広ささえ、今は分からない。

「出口はあるか?」

ヴォルフラムが立ち上がり、壁を伝って出口を探した。
ぼすっと、ヴォルフラムが何かに躓く音がする。

「なんだ!?」

「んく…」

この声はっ!!!!

「「ルシュリユ!!!!」」

「はっぃい?…だ、だれ…」

思わぬ出逢いに驚き声のする方へ盲目的にあるいていった。

「ルシュリユ!あぁ貴女をどれだけ探した事か…
怪我はありませんか?」

「ひ…あ、ぅあぃ…な、いです」

酷く怯えている。
彼女が、ご主人様とやらに何をされたかなんて、まったく想像できそうにない。

恐怖に敏感になっても、おかしくはないだろう。

「すみません…ルシュリユ…。」

「ごめんなさいっ…でも、大丈夫、です、ギュンターさんも、ヴォルフラムさんも、皆…いい人ですから…。」

健気で、とても痛々しい。

「ヴォルフラム、その出口、開きませんか?」

「先ほどからやっている。が、ここは魔術が使えないようだ。」

「…そうですか。」

「当たり前と言ったら、当たり前の対策だな。
魔術に関してはスペシャリストの我々を、
魔術対策せず閉じ込める方がおかしい。」

ヴォルフラムが自嘲気味に笑った。
確かに当たり前の策だ。

「…開けますか?」

ルシュリユが自信なさげに言った。

「!!できるのか?」

「…はい、ここは、私を閉じ込めるために作られた訳じゃないですから。」
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