黒髪の少女。

□茶色と白
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「あ」

ギュンターとは反対の方へ歩いていると、
偶然ルシュリユと、グウェンダルに会った。

「コンラッドさん。」

ルシュリユは、俺のことを名前で呼んでくれた。
そんなことより、グウェンダルがルシュリユの手を引いているのが少し気になった。

なんだかんだ言って、着々と中を深めているではないか。

「やぁ、ルシュリユ。」

ルシュリユの顔は、昨日の夜あったときより随分顔色も良くなっていた。
白いワンピースがよく似合う、黒髪の少女。
この二人を見ていると、また笑いが込み上げてくる。

「?何がおかしい、コンラッド。」

グウェンダルが怪訝な顔をする。

「すまない、何でも…
いや、実はさっき君の部屋の前でギュンターを見たんだ。」

尾行したと、俺はいわない。

「ギュンターを?それで?」

「それが、随分ルシュリユに会いたがってるみたいで…。」

ここで、俺は話をやめた。
グウェンダルが、先ほど俺に向けた怪訝さを上回る顔をしたので、これぐらいにしておこうと思ったのだ。
そこで、ルシュリユを見る。
まだ、ギュンターの事をちゃんと覚えられていないのか少し戸惑っていた。

「…あいつには近づけない方が良さそうだな。」

「あぁ、お気をつけて。」

「情報ありがとう、コンラッド。」

グウェンダルと放れると、その後ろを使用人達が追っているのを見た。

「どこもかしこも、尾行するものばかりか。」

愉快ではあったが、ここの警備もどうかと。
少し不安になった。

「あぁ!!コンラッド!!ルシュリユを見ませんでしたか??」

見た。
と、俺はいわない。

「いや、見なかったな。」

「そうですか…あぁ…グウェンダルに私はとことん嫌われてしまったようです。
先ほど部屋に行ったのですが、一言も話してくれませんでした。」

知っている。
と、俺はいわない。

「それは残念だったね…
もしかしたら、居なかっただけかもしれないよ。」

すると、ギュンターは顔を赤らめる。

「う…そ、…そんなはずないですよッ!
だって…」

「だって、何も話してくれなかったんだろう?
グウェンダルだって、怒るか怒鳴るぐらいはするさ。」

怒るか怒鳴るかしかしないけれど。

というか、本当に気付いてなかったのか。
…すごいな、愛の力は。

「〜〜〜〜〜〜っ////」

今度は、恥ずかしそうに床を転げ回る。

「わ、わ、わ、わ、私は!!誰もいない部屋にあんな事や、こんなことを!!!」

たしかに恥ずかしいね。
でも、本人がいたらもっと恥ずかしかっただろうに。

「ギュンター、落ち着いて。」

俺は同じことを繰り返している。
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