黒髪の少女。

□終焉の呪い
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「ルシュリユ、そういえば昔、君は言ったよね。
私は不幸だって。
それはどういう意味だったか、教えてくれる?」

ルシュリユは見据えた。
それは子供の目ではなかった。

「まだわからない…?可哀想な人。」

白い男は怒った。
ぐぐぐと握りしめた手を、石に叩き付けて。
爪で手のひらを切り血まみれになっているのも気にせずに。

「本当可哀想な人、弱いわ…痛々しい。
いつまでその呪いに縛られているの?」

「…黙りなさい。」

「こんな小さな子供の体に二つも魂を詰め込んで。
貴方って本当可哀想。」

「黙れと言っているだろう!!!!」

スカンと、子気味よく木の板にナイフが刺さる。
辺りを見回せば、ボロボロなのは自分だけではない。
壁も床も天井も人質も、全員がボロボロで傷だらけだ。
血痕もある。誰ものかわからない白骨がある。
俺には動く気力がない。

フーっと男が深呼吸する。
男はルシュリユを傷つけないのに必死だ。
それを分かって彼女は挑発している。
人質が傷つくのを承知で。

「ルシュリユは悪い子だ。仲間を見放すんだね?」

「仲間を作ったのはルシュリユだ、私じゃない。」

「そんな事言って、君も随分彼らに入れ込んでいるようじゃないか。」

「奴らの元なら、この体も安全だろうと思ったから…。
貴様に見つかる事も、囚われる事もないと思ったのよ。
まぁ、その考えが甘かったんだな。」

「お利口じゃないか、さてそれじゃあ次は誰をいたぶろうか?」

「…」

男は俺を見た。
白骨化して、みっともない所を晒さないことを祈った。
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