小説

□美しい日々
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わかってないなぁ。

そうやって目を伏せて、可愛い顔して。生真面目でお堅いお前は俺との関係に色々色々いっろいろ思うところがあるんだろーね。
俺は失うものなんてなぁんにもないけど。
諦めなよ俺に惚れてるんだろ。
お前はいっつもがんじがらめだもんね。そいで自分でもその状態を欲している。
無意識に。
深い所では。
それって自縄自縛っていうんだよね知ってる偉いだろ?
社会的身分も体裁も親友の信頼も可愛い部下の羨望もエトセトラエトセトラ。
お前は高嶺の花だから。
誰もが触りたくて誰も触れない。大事にしすぎて大事にされすぎて。
夢のようにお前は綺麗で純粋で可愛い。でもお前は俺からは逃げられない。
お前は俺を心底愛しているからどうにもならないであがいてもがいて怯えてる。
俺はそういうのがたまらないんだ嗜虐的なヨロコビ。
おれは生粋のサドだけどお前が不安が高じて当り散らすのを受け止めるのは好きなんだ不思議と。
だってお前が振り回した刀で傷つくのはお前であって俺じゃない。
それから泣くお前を慰めて抱きしめてあげる。
お前は傷つくファクターにすがる矛盾を痛いほどわかっている(頭がいいから)
でも最後には流される(頭がいいのに)

だってそれが愛の持つ矛盾で、
それが愛そのものだから。


今日はデートなのでそろそろおでかけ。
お前は苛々苛々しながら可愛い顔でそわそわそわそわ俺を待つ。俺を待つお前を見るのも好きだ。
周りの人間がみんなお前をちらちらちらちら見ているのにお前の頭の中は俺で一杯で死ぬほど気分がイイ。


これが幸せでないなら
何をしあわせというんだろう。

――――――
いじわるな銀さん。
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