花よりも君を、

□第一話
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思えば、今日は高校の教科書を受け取りに行く日だったのだ。

初めて高校の制服を着て、教科書をしっかり受け取り、家路へと着いたはずなのに…


気が付けば、迷子になっていた。

しかも、この風景。
見た事ない……。



『うっわぁ…本当どうしよ』



「おい!」




………?

後ろで男の子の声が聞こえた。

振り返ってみると
小さな、着物の

2人の男の子がいた。




先程声を掛けたのは、くるっとした大きな眼で栗色の髪の毛の元気そうな子。

その子に隠れるように、もう1人右目に包帯を巻いた黒髪の小さな子がいた。



「ねぇお前、何者?」



『何者、って…?相馬、愛…と言います』



「相馬?聞かない名だね、格下なの?」



『なっ…!』



いきなり人の家の名字を格下呼ばわり。

栗色の髪の男の子は歳に合わない、冷ややかな笑みを浮かべたまま口を開く。



「まぁ、いいや。梵、見てよコイツの着物。見た事ない形してる。…ねぇ、面白そうだから連れて帰ろうよ」



「え…でも……」



今度はコイツ呼ばわりで指を差された。



「梵っ!いいじゃん、別に怒られたら消せばいいんだし」



……何か今、凄い事を言われた気がする。



「う……わかった…」



【梵】と呼ばれた男の子は自分の着物をぎゅ、と握り締めながらチラチラと私を見てくる。



『な、なんか話進んでます…?』






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