文
□そうなることが怖くて・・・ だからそうならない様に―――
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暗い。暗い。
周りが皆暗い。
かといって、真っ黒な闇ではない。
むしろ、真っ白だ。
なのに暗い。
白なのに暗いという、なんとも表現し難い空間だ。
何処だろう。ここは。
―フッ―
っと、暗い、白の空間に影が過ぎった。
その影は段々と形を表していく。
気がついたら、俺のよく知る形で、「何してんだ」と、影の名前を叫ぼうとしたら――――
消えた。
正確に言えば、周りの背景の色に解け込んでしまったという表現が1番合っているかもしれない。
「待てっ!」と言わんばかりに手を伸ばした。
しかし、その、今まであった影は、その手を一つ残して背景と同化してしまったように見えた。