×土な話2
□アンチ・エイジング
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ボンッ
そんな、小さな爆発音がして、一瞬で大きな座敷が真っ白になった。
いかにも漫画的な展開で、皆一様に目を白黒させてるうちに人工的だろうその霧が薄くなり、
俺は少しの焦げ臭さが残る空気にムセて、生理的にかゆくなった目を乱暴にこする。
『また沖田隊長がバズーカでもぶっ放したんだろうか』
武装警察・真選組
そんな、出来立ての幕府機関に従事する俺達は一般人には許されない帯刀、武装が許可されている。
しかしながら、武装を容認するには人間的に問題有りな者達が数多く在籍する。
そのため、こんな事は結構よくある事であった。
その人間失格者の中でも一、二を争うであろう人物の愛する[バズーカ]という大型の筒が煙を発生させたのだろう。
未だ薄い灰色の視界の中で、目が合う者達は一様に『またか』は重い息をはく。
「総悟!!部屋の中でぶっ放すのはやめなさい!!」
軽く咳をしながら局長は原因だと思われる沖田隊長を、まるで母親のようにとがめる。
「俺じゃありやせん」
母親というにはゴリラのような男の隣で、隊長はお上品にも湯呑に両手を添え何食わぬ顔で先程俺がいれた茶を啜っていた。
「あれ…じゃあ誰だ?なぁトシどう思…う?」
「…近藤さん?」
「…」
「…トシ君がおかしいんですが、誰か心当たりある人」
『目をつぶって手を上げなさい』
局長が…テンパりまくったんだろう。
普段見せないような静かな笑顔でソコに居た隊士全員を見つめて言った。
そしてほとんどの隊士が目を閉じた後
あろうことか自分まで目を閉じて固まった。
「あんた、またおかしな事になってますぜ」
隊長が指さした先には、昨日より幾分か肉付きにいい、艶やかに光る長い髪を垂らした土方副長だろう青年の姿があった…。
「あぁ…近藤さん、俺心あたりある…かも。」
ハハッと力無く笑う副長の向かいで俺、山崎退も静かに手を挙げた。