×土な話

□夢でと望む者、現実でと望む者の話
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外は熱いくらいに晴れてるんだろう



夢でと望む者、現実でと望む者の話



僅かにこぼれてくる光りを見つめながら、土方は思った。
それは至極当たり前な事だ。
だが、とても遠い気がした。
切り離されたような感覚。この部屋と外の間に、見えない日常とのラインがあるように感じる。
だから、ここにあるのが夢であれば良い…

広い座敷の真ん中に敷かれた布団。
その上に散らばった、くすむ金糸を撫でれば、赤い目が土方を見上げて小さく笑った。


「あんた、何してんでぃ」


似合わないとこぼす声は大人と言うには幼い。


「何となくな」


赤い目に映る自分はきっと無表情なんだろう。
細い糸を指で遊びながら考えて…

外では今日もまるで同じように過ぎて行く。
近藤も山崎も土方も
この部屋を出れば日常。

ただ、いつからか沖田の日常だけが飲み込まれ。


「何でぃ、あんた少しくらい…」

笑え?
無理だ。
泣け?
それも無理だ。
じゃあこ先の言葉を探す意味など無いように思って、

「…夢、見るんでさぁ」

沖田は自分を見下ろす鋭い金色の目み見つめた。

リアルに満ちた夢。
目が覚めても鮮明に思い出される。
目を閉じる度何度も見る夢。


「夢の中であんた出てきましたぜぃ」

確かそいつも土方という名で、顔は違うが雰囲気は似ていた。
近藤も山崎も沖田も居た。

「夢のが格好良かったけどねぃ」
「うるせぇ」

くすりと笑んで、手を重ねる。
沖田よりも大きいくせに、細い指を軽く絡めて…

「そこでも俺ら『しんせんぐみ』でしたぜ」

そんでね、
そこでも俺はぶっ倒れてて、

…なんて笑えない。

夢の最後はいつも『近藤』を弱く呼びながら、
『沖田』は『土方』を呼ばないまま暗転。

「夢の中のあんたは見舞いなんて来やしねぇ、薄情な奴でねぃ」

責めるような口調で言ってみるが、多分違う。

『沖田』と『土方』個々の中に繋がりなんて無かった。
いつからか、それが寂しい。

「夢でもあんたはムカつきまさぁ」
「知るかよ」

でも、どこか嬉しい。
夢を終えると、自分の髪を撫でてる男の金の目が見えるから。

「やっぱ、くたばるのは俺のが早いみたいでさぁ」

辛くない。
死んでもきっとこの人は髪を撫でる。

「辛気臭顔すんじゃねぇよ、土方コノヤロー」
「してねぇよ」

清々するなんて、口端だけ上げられても説得力など無い。
だから
「まぁ、あんたもそろそろじゃねぇかと思いますがねぃ」ふざけて土方の真っ黒だろう肺をついた。

「…俺は嬉しいんですぜ?
あんたがここに居るって事は死に顔も見てくれるんだろ。精々強烈な顔してくたばって、あんたの脳裏にこびりついてやりまさぁ」

これが現実だ。
あの夢より、今が良い。ここなら『近藤』だけじゃない、『土方』も呼べるから。



「そんな顔見ちまったら寝れなくなるだろ」

「あんたビビりだからねぃ」


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実史ネタ。
視点バラバラ、意味不明で反省。

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