×土な話

□すみません、上向いたら頭もどらなくなっちゃって
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多分空が綺麗だったからだ。
天人の空飛ぶ船がウヨウヨでも、綺麗だと思って、ずっとずっと見ていた。



すみません、上向いたら頭もどらなくなっちゃって



働きっぱなしで疲きった身体を引き摺って向かうは真選組副長室。

密偵を開始してなんと1ヶ月。1日3時間睡眠で調べ続けて、やっとひと段落着いたから屯所に帰って来た。
その潜入先が地下街だったからか、帰路の途中見上げた曇った船だらけの空が綺麗だと感じたんだと思う。


「おっ!山崎お帰り」
「やっと戻って来やがった」

無駄に重々しい門を潜って直ぐ局長と原田から声をかけられて、やっと帰って来た実感が沸く。

「山崎退、只今戻りました!」

これまた無駄に元気な声を出して。

「………おい山崎」
「はい」
「何だその頭」
「………聞かないでほしいな」
「…」

「じゃあ俺報告行ってきますね」

何時の間にか皆が集まってきて、俺を指をさして笑い出す。
原因が分かってるけどどうしようもない。
あぁ、なんか恥ずかしくなってきた。

逃げるように廊下を走って副長室に居るあの人を目指す。

結構走って、
障子が直ぐ前に見えたけど、失速するのを忘れて頭から突っ込んだ。

障子2枚。いくらの減給になるか…

「お前、何してんの」


早く会いたかったのはあるけど、
これじゃあんまりな再会の仕方じゃないかな。


「…報告に参りました」
「………あぁ」

黒い隊服から取り出した紙の束は30枚きっちり。
前に作文だと言われたけど、きっと読んでくれるから今でも同じ文体で書いている。

「…ねぇ副長」

「何だ」

「俺今日空見てたんです、3時間くらい」
「……」

「そしたら戻んなくなっちゃって、多分ねちがえたと…」
「馬鹿」

「そうですね。でもやっと…土方さんと同じ場所に帰って来たんだなぁと思って」

何が言いたいか?
そんなの決まってる。

「ねぇ、俺帰ってきましたよ?」



「…おかえり」
「ただいま」



すみません、上向いたら頭もどらなくなっちゃって

だから

お帰りのちゅうはあんたからお願いします


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…ラブラブなんです
お題→The Dog様

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