×土な話

□あぁ、愚かな信者供よ!偶像崇拝はよしてくれ
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あの人は一日中墓の前に立っていた。
無縁仏の墓を見つめていた。

一人の隊士が死んだ日
局長とか隊長とかじゃなくて
一人の隊士が死んだ日



今日屯所では葬式が開かれる。隊士を忍んで。
ここで何人送った事か分らないが、数人とかじゃないだろう。

何回泣いてたっけ局長は。
何回唇を噛んでたっけ隊長は。

「グズグズ泣いてんじゃねぇ」

あぁ副長は何度この言葉を言って死んだ隊士の写真を睨んだっけ。

そう言って死を遠ざける彼を、皆諦めたように見る訳だ。
強い人だとか、怖い人だとか。
そして辛そうな上司二人と見比べる。


「明日は仕事だ」

見ないで欲しい。
座敷の後ろで胡座を組み死者を冒涜する彼を。

煙草を持つ震えてる指なんて誰も知らないのだから。




『あぁ、愚かな信者供よ!偶像崇拝はよしてくれ』


お前逹の目には見えていないのだ。
偶像を奉る祠が崩れて行くのが。


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お題は「The Dog」様よりお借りしました。

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