×土な話

□ソファー
1ページ/1ページ

 俺がもし、誰にも平等っていう善人だったら、幸せな脳みそで生きれただろうか。

 もし、副長という座に居なければ、昔のように俺の周りで人は笑ってくれてたんだろうか。

 もし、あの人に会わずにいたら、自分の思うままに刀を振れてただろうか。



「なぁ、縛られない俺ってさ、どんなもんなんだろう」



昨日の夜。

平の隊士の首から腹に刃を入れた。

攘夷志士と内通していると報告があったからだ。

全てに命令が必要な立場ではないから、「切っていいか」なんて、わざわざ確認する事もしなかった。あの人が居るこの組織を守る為に必要な事項だと、俺の脳みそが身体に指令を出した。



「真選組じゃなくて、そうだなぁ。もぅいっそ銀時の所でアルバイトでもいいなぁ」



「せいぜい煙草代にしかなんないですよ」



「それでもいいな」



鉄臭い真っ赤な液体を吸っても、この服の色はなんも変わらなかった。



『俺はあんたの為にやったんだ』

ずっと前にそう叫んだ事がある。

『…そうか』

そう言って、俺に背を向けたあの人。

俺を睨みつけて、あの人の背を追った総悟。



多分、その時から俺は一人になったんだと思う。



でももう後の祭り



いかんせん、変に頑固な俺は、あの人が望む望まぬ関係なく、あの人が仲間と呼ぶ奴らを切ってった。

血まみれの機密書類をあの人に手渡す度その距離は長く深くなった。

そしてできた谷底を見つめて立ちすくんでる滑稽な俺。





『もう、俺達が死んでしまえば良いのに』





後ろからいつも聞こえる声。





『あんたが俺達の存在なんて消してしまえばいいのに』





憐れむような声で俺を抱きしめて、深い暗闇の底を覗き込む両の目を塞ぐ。









『俺達なんて、見えなくなれば良いのに』















:ソファー:















目が覚めたら、とても静まり返った屯所。



廊下を歩いてみても、食堂のふすまを開けても、誰の声も聞こえない。誰も居ない。



不思議な空間だった。



どうしたものか。



習慣で大広間の一番奥から二番目に座る。



いつもとまったく違う静けさに、頭が鈍るような、なんも考えられずただ時間を過ごした。





日が陰った頃。

日を背負い銀時がやってきた。夕日のせいで赤くなった髪を眺め、何でこいつはここに居るのか思案する。



「勝手に入って来たのか?」



普段、部外者が入れる事のない、屯所の奥の大広間。



「なぁ、お前なんか知らねぇか?今日の朝から誰も居ないんだ。」



「土方君。」



近藤さんはまた女の尻を追っかけてるんだろうか。

総悟はきっとどこかで寝てるんだ。

だけど、あいつが俺の後ろにいないんだ。



「なぁ、なんか知らねぇか?」



「土方君」













「見えないの?」





そう言って銀時が指さしたのは、真選組局長が座るはずの座布団だった。



「何言ってんだ?」



「近藤、そこに居るよ」



「何馬鹿な事言ってんだよ」



「沖田君も、ジミーも居るよ」







「皆、お前を、見てるよ」









『俺達なんて、見えなくなれば良いのに』









「誰もいねぇよ」









































「土方君、またジミーが来たよ」

『       』





俺は銀時に厄介になってる。



そんで、よく山崎が来る。



俺一人ではこいつの事を認識できない。

見えない、聞こえない。ならば筆談でと試しては見たが、紙は真っ白いまま。俺の脳みそはあいつらが綴ったものさへ認識しなかった。

だから、ソファーに座って、右に銀時。そんで、多分、左に山崎が座る。

山崎は昔から俺の右に座らない。

『右は俺が庇う必要皆無です』と、力の抜ける顔で笑ってた。

だから俺の右には銀時が座る。





『       』

「今日は何もなくて平和だったらしいよ」

「そうか、皆変わりないか」

『      』

「何もないってさ」

「そうか」





「山崎、ごめんな」



俺はもう、お前が後ろに居ても気づいてやれない。

抱きしめられても分からない。



「何で見えないんだろうなぁ」



おいてってごめん

















今日も俺は呼び鈴をならす。



「俺が通訳すんのはお前だけね」



屯所とは比べれらない程安っぽい扉を開いて万事屋の旦那が無表情で言う。

あぁ、そういえばそうですね、なんて、馬鹿っぽく返して開いた扉をぬけ、小さくて靴が乱雑に散らかった玄関で、組指定の黒い革靴を脱ぐ。



「他の奴が来ても俺何も言わないんだ」



「そうですか」



短い廊下の奥には土方さんが居る。



「俺も本当は旦那に助けてもらえる資格ないんですけどね」



「俺だってこんな面倒くっさい事したくねぇけど、あいつがお前の事ばっか気にすんだからしかたねぇよなぁー」



苦い顔でそう言って頭をかく度に、白銀の髪がふわふわ揺れる。



「『俺達が見えなくなれば良い』って、あの人に言ってたんですよね。」

毎日毎日、それはもう、催眠術でもかけるように、ずっと。

「そうなればあの人は楽になるんじゃないかって。」







「でもやっぱ、馬鹿だなぁ、俺って」



『俺はあんた無では辛い。



でも、あんたも俺無では辛い、なんて、そんなの考えなかった』






*******
意味不明過ぎてぇえええ

精神的にいっぱいになって組員全員が見えなくなっちゃって…ちょっとハッピー!
あれ、でもザキもいねぇえええ

って話。。です。。すみませんorz
多分書き直します

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ