イルゲネス

愛夜
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 ジェイクは自分よりいくらか細い体を、広い寝台に縫い付けた。
 ふたり分の体重に抗議するようにベッドは軋んだが、気にはならない。
 だが──

「フォン、いいのか…?」
 本来なら、部下が上官を組み敷くなど許されない。
 これが他の男だったなら、恐らくその場で射殺されている。
 だが、フォンはそれを許していた。
 一度は銃を向けたジェイクに己の本心を見せる事はしないくせに、自らの体を好きにする事は認めたのだ。
 そこにどんな思惑があるのかはわからない。
 けれど、ジェイクはその誘いにのった。
 フォンに触れたかった。
 今、すぐそこにいる彼が、かつて自分が愛した少年と同じである事を、この手で触れて確認したかった。



 いつもきちんと締めてあるネクタイをほどき、ゆっくりと首に舌を這わせる。
 筋にそって舌を動かせると、くすぐったいのか微かに身動いだ。
 そのまま逃れようとする体を押さえ付けて歯を立てると、小さく体が跳ねる。
 強く噛みすぎたかと、その痛みを慰めるように、同じ箇所をなめれば、くぐもった呻きが聞こえる。
 こうやって声を殺す所は昔と変わらないな。と、心の隅で思った。

「相変わらず、色白いな…」
 ボタンをすべて外し、開いたシャツの下から現れたのは滑らかな肌だった。
 パージ・チルドレンが有する驚異的な治癒能力のおかげか、以前ジェイクを庇った際に負った傷は、痕すら残っていない。
 その事に安堵しながら、ジェイクはフォンの肌を撫でさすった。
 自分の記憶と違う所は無いか。どこかに、致命的な傷などを隠していないか。
 ジェイクはフォンの頭から足の先まで、何度も何度も視線を往復させる。
 それがあまりにもしつこかったからか、フォンは顔を反らした。背けた目元が微かに赤らんでいる事に気付いて、ジェイクは小さく笑った。



 女とは違う、平らな胸から腹にかけて舌を這わす。
 白い肌に、唾液の軌跡が煌めいた。
「ぅっ……んっ」
 押し殺したあえぎが漏れ聞こえてくる。
 フォンは昔から、肌に触れられる事が苦手だった。
 他人と距離を置く事に慣れてしまった若き日の彼は、これほどまでに濃密な触れ合いに慣れていなかったのだ。
 だが、体を重ねる毎に、フォンは少しずつジェイクに触れられる事に慣れていった。
 熱のこもった愛撫に、快楽を示すようになった。
 ジェイクは腹まで舌を這わすと、臍の周りをひとなめしてから、そこにくちづける。
「ぅあっ…!」
 うっすら赤い痕が残るのと同時に、フォンの唇から悲鳴のような声が上がった。


 
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