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□その瞳が開くまで
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後にボンゴレ2代目と呼ばれる青年が執務室に入ると、目の前には重厚な机と椅子。そしてそれに頬杖をついて眠る義父・ジョットの姿が視界に飛び込んできた。
青年は父を起こさぬよう気配を殺し、無言で近付く。
眠るジョットの姿は、自分より年上とは思えない程幼く見えた。
青年はそっと机の後ろに回り込み、ジョットの体を椅子に深く沈めさせた。それは単に義父の体を慮っての事だったが、ほんの一瞬だけ青年の脳裏を邪念が過ぎった。
それは甘美な誘惑であり、いかに意志の強さで知られた彼であっても逆らう事の出来ないような根源的な慾だった。
青年は何を考える暇もないまま、呼吸のために微かに動く色の薄い唇に己の唇を寄せた。
せめてこの瞳が開くまでは、自分のものであってほしかった――
2008.3.18
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