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□いつかは
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「…グスッ…きたないぃー」

半泣き状態の、俺の幼なじみは何回目かの俺の頑張りを一言で崩し続けている

「…わりぃ」

最初は謝っていたものの、そもそも男の俺に女の髪を可愛くさらに綺麗に結うなんてできるわけがない…。

なんで俺がいのの…半泣きのいのの髪を文句も言わず(心の中以外で)結っているのかというと…

それは、いまから
30分ほどさかのぼる

-----------

「おぉーい、いくぞぉー」

俺達は校庭でサッカーをしていた。
と、いってもなるべく寝ていたい俺はキバやナルトに無理矢理引っ張られただけで、端っからやる気は毛頭なかった。


「シカマルゥ!いくってばよぉ」

「あーはいはい」

その日はいつも以上にやる気が出ない日だった。
で、ふと周りを見渡すと、いのを見つけた。
お?なんだかいつもとちょっと違う髪型…

「クックック、シカマル君、余所見してると危ないってばよ?」

と後ろ向いた時には
ナルトが俺目掛けてボールを放った所だった

「ちょっ待てっ」

急いでよける
ナルトの馬鹿力が最大に発揮されたボールは俺の横を凄い勢いで通り過ぎた。

「待てそっちにはっ」
っと気づいたのといのの悲鳴がちょうど同じぐらいだった。

いのの所にみんなで駆け寄ると、いのは頭をさすりながら倒れていた。

「いったぁーい」

「だ、大丈夫か?」

「シカマルがやったのぉ!?もぉー大丈夫なわけないでしょー!」

「い、いや俺じゃなくナルトが…」

もうナルトは早々と逃げようと後ろを向いていた。
「ナルトー!!」

「ご、ゴメンってば!でも悪いのはシカマルだってばよっつ」

とか言いながら走り抜けていった。
チョウジはその間もいのの看病をしていた、

「いの大丈夫?髪グチャグチャになっちゃったね」

「うん…えっ…あ、嘘っちょっとっヤダァ」

チョウジの何気ない一言から、いのは自分の髪を触りながらうろたえ始めた

「はぁ?どうし…」

「髪がぁ!せっかく今日頑張ったのにぃ…もぉヤダ…」

…髪なんてまた結びなおしゃーいいだろ…なぁーんてわけにはいかないんだよな…。

「し、シカマルのせいなんだから、シカマルが直してやれよ、なっ」

キバは場に耐えられなくなったのか、無茶苦茶なこと言って退散していった
それを聞いて何を思ったのかチョウジまで

「そーだね、そうしよう。じゃ、シカマル頑張って」

「えっ、ちょっと待てっチョウジっ」

…俺は親友に裏切られました。

「グスッ…どうするのぉ」

「えっちょっ…いの泣いてっ」

「サスケ君に見せるためにがんばったのにぃ…」

サスケって言葉に
なんとなくムッときて
つい言ってしまった

「わかったよ!!結び直せばいいんだろっ」


-------こうして冒頭に繋がるわけだ。


「…あのーいのさん?こんなんでどうでしょう?」

俺のIQ200の脳は今回全く役に立たない。

いのの髪型はかろうじて覚えている程度で…いやその前に俺の能力程度じゃいのがいつも結んでるくらいが精一杯だ


「…もう見せれないじゃない、会いに行けないわー」


見せなくていーっての。あいにいくなよ。ここにいろ、俺のそばに

「…わりぃ」

心の中の気持ち

お前に伝えられたらどんなにいいか。

俺ならどんないのだって…
いのはどんな髪型だって…「可愛いのによぉ」

「…」

「…え?」

いのがキョトンとした目でこっちをみる

…は?ちょちょちょっと待て、今のは俺から出た声か?いやいや、落ち着け。

「本当に?」

「あぁ、は、はい」

「…」

沈黙がつらい。
どう思われた?


「……ふふ。しょうがない。じゃぁこれで許してあげるわー」


そう言って笑ったいのは俺のせいでちょっと不格好な髪型だったけど、恐ろしく綺麗で可愛かった。


「なぁに、固まってんのよー?許してあげたのよぉ?それともなにー?この髪型本当はかわいくないっていうのー?」

耳まで真っ赤な俺はバカみたいに首を振った。


俺はまたひとついのを好きになる。


いつか、本当の気持ちをすべて伝えられるといい。

いつか、サスケなんなのためじゃなく、俺のために…


まぁ、その道のりは険しく長くなりそうだが

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