ギャングキング夢小説

□【一つ残らず】
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私があんたに黙って出掛けたのは、あんたの誕生日プレゼントを買う為

バレてちゃ話になんないでしょ?


付き合って間もない私たちはキスはおろか、まだ手も繋いでない


だから私はこれを期に ギュッ!チュッ!イヤーン!な作戦を企てたのさ


見てなよ ピンコ。
明日のアンタの誕生日に、普段は可愛らしさの欠片もない私は超乙女になってやる





《お前こんな朝から何処行った?》


これはピンコからのメール
無愛想な私の彼氏は電子手紙でも無愛想

それでも文章の裏に隠された、心配している気持ちは私にはバレバレだよ

《友達が買い物付き合ってくれってさ》


私からの素っ気ない返事も日常茶飯事だ。
これ位の愛情が実は丁度いい。
そして返事は勿論ない。


私たちはもう、お互いに20歳なんだから










ピンコと私の実家は隣同士だった。
小さい頃からピンコの親と私の親は非常に仲が良かった。
云わば幼馴染み

私は小さい頃からずっとピンコが大好きで、ピンコが一人暮らしを始めた時に私もわざわざピンコの家の近くのアパートで一人暮らしを始めた程だ。
高校からは違う道に進学したけれど事あるごとに追いかけ回していた。
そんな私たちが付き合うことになったのはほんの3ヶ月前。

ピンコも卒業したし、私も仕事を見つけたし。丁度良い機会だと思ったんだ。

私の告白は半無理矢理みたいなもんだったけどピンコはまんざらでもなさそうだった。
だって頭を撫でてくれたもの。

それでもピンコは忙しくて、なかなかデートする時間が無い為にキスもハグもしたことがない。
幼馴染みからの恋人ってのはやっぱり、キスとかってあんまり考えられないものだけど、今は誰が何と言おうと私たちは付き合っているわけで。
好きな人とキスはおろか一つになっちまいたいと思うのは当然でしょ?

だから誕生日に向けての幸せの工作よ





「ピンコの趣味って分かんないよね〜、全身真っ白だし。チョーカーは元カノからのプレゼントだし…」

ピンコの過去を探ったことは今までにたったの一度だけ。

いつも肌身離さず付けている元カノからのプレゼントは、いくら彼女からの頼みでもきっと外す事はないんだろう。

嫌だけど 何も言えない

一種の恐怖なんだと思う。
外せ外せと言って嫌われてしまうのを心底怖がっている自分がいる。

折角手に入れたこの地位を失いたくないんだ。


だから私との一生モノの思い出も、身に着けてもらいたくて






「あ、もしもしハスキー??ちょっと出てこれる??付き合って欲しいんだけど」


ハスキーと私は大の仲良し。
元はピンコと同じ学校で、今は違うとこに行っちゃったけど年下であれど可愛らしくて何より楽しい子だから、良く絡む。

ピンコとずっと一緒に居た子だし、男同士だから趣味も分かるかと…ま、参考程度に。


「え-!?俺名無しさんちゃんと付き合えるの-??」

「馬〜鹿」


電話越しにケラケラ笑う。
ハスキーもまた、同じように笑う。

私の現在地だけを伝えると、ハスキーは二つ返事で電話を切った。








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