ギャングキング夢小説
□【目の前にあるもの】
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板東くん。
地元では“ニトロバンコ”と呼ばれ恐れられていたやんちゃボーイ。
私から見たら1つ年下で
顔も体型もとても可愛い男の子であります。
そんなプリティーボーイに恋しちゃ駄目ですか??
【目の前にあるもの】
「はァ〜…可愛い…」
「名無しさん…あんたまだそんなこと…」
「だってホラ見て!!あっ!あっ!今日も可愛いんだからぁ〜ったく!」
「だいたいアイツ、ニトロバンコって…」
「そんなこったどうでもいいのよ!可愛い―可愛い―!彼氏にしたぁぁああい!!」
「じゃ告白したら」
「やだ―恥ずかしい…」
「…先帰るわ」
私は名無しさん名無しさんと申します。
バラ学の2年ではあるものの、大好きな大好きな後輩の板東くんに近付けないまま…
そんな私を置いて友達は去る―…☆
あぁ〜早くお近付きになりたい!
ウ゛イィィィィイイン…
「…この音は…」
ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛…
「名無しさん〜♪」
「やっぱり…」
同学年のゾンビだ…
「何しに来たのよバイブ太郎」
「名無しさん、今日デートするって約束…」
「するわけないでしょこの血頭!!」
「血ッ!?」
いつもいつも飽きないわね
私が板東くんを眺めていると必ずと言って良い程、この野郎が邪魔しにくる。
同じ学年。
所属科こそ違うものの
いつも私にちょっかいを出す。
愛用のバイブを轟かせながら
「いつまでバンコのこと見てンだよ」
「あンたにゃ関係のないことよ―」
「俺の血頭見とけよ」
「嫌」
「じゃバイブは?」
「嫌」
「そうだ俺新しいバイブ買ったんだよ、挿れさせ…」
「この変態がッ!!!」
私はゾンビが嫌いだ。
コイツと私は、今までの人生の中で1度と言っていい程関わりがなく、ましてや高校に入った時は初対面だったのに、ある時からか私を見つける度にちょっかい出してくるようになった。
バイブ付きで。(しつこい)
今だって。
電柱の影から、しゃがみ込んで板東くんを見つめる私の後ろから、バイブを振り回しながらゾンビが来ていた。
「なぁ、いつまでもンなことばっかしやってねぇでよ、俺と遊ぼうぜ」
「ヤダ」
「なンで」
「ゾンビと遊んでたら…板東くんに勘違いされんじゃン」
「………はぁ〜」
「……何よッ」
「そンなに好きかよ。」
「…好きよ」
一際小さく呟いた。
私の目は板東くんを向いているものの、板東くんを捕らえてはいなかった。
頭が真っ白だったから。
どうして…
「よし」
と、後ろから聞こえた気がした。
振り向くとゾンビが立ち上がってバイブを高らかに掲げていた。
「ちょ… 「バンコ――!!」
一瞬、何が起きたのか分かんなかった。
「あ、ゾンビく―ん!」
「チャース」
「おう」
憧れの板東くん(と。あのジミーとかゆう奴)が近付いてくる中、ゾンビが小声で私に《ほら、来たぞ》と言った。
「え…」
まさかと思った。
ゾンビがこんなことに気を遣わせる奴じゃないと思ってたから…。
「あれ、ゾンビくん、誰スかこの子」
ジミーって奴が一番に私に気付いた。
しゃがみ込んだ私の目線に合わすように、目の前にしゃがみ込んで来た。
イカつい座り方だけど、やっぱ流石に男前だと思ったのだ。
「コイツ、俺のダチだよ」
「へぇ、ゾンビくんにも女のダチいたんだ」
ゾンビに、立てよ。と言われてやっと立ち上がれた。
こんな近くにあのジミーとかゆう奴と板東くんがッ…
緊張が止まらないみたいで、胸が苦しい。
「キャッ!!?」
立ち上がった私の腕を、ジミーとかゆう奴が掴んで、支えにして立ち上がる。
ちょっとー!板東君に変に思われたらどうしてくれんのよー!!
「ちっちぇーなぁ、身長いくらっすか?」
板東くんが言った。
声が出なかった。
板東くんが、私の頭に手を置いたから。
その様子を見兼ねたゾンビが、私の背中をトンと押した。
「あっ…150…」
「ジャスト?」
「はい…」
お前もチビだろ―が。
と、ジミーとかゆう奴が、板東くんの頭に手を置いた。
それを見た私は何か暖かい衝動にかられた。
「おい…」
ハッとした。
ゾンビが、横から私を呼んだと思ったら、いつの間にやら私は無意識に板東くんの頭に手を置いていた。
「きゃあぁ!!ごめン!」
「いや、いいんスけどね…」
「わぁぁ、私の馬鹿―!!!」
「あ、こいつ名無しさんな」
「名無しさんちゃんてゆうんすか?おもしれ―人だなぁ」
ジミー(とかやう奴)と板東くんが、すっごい笑ってる。
「良かったな」
ボソリとまた
ゾンビが言った。
ありがとう
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