□君の体温は優しい睡眠薬
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俺は少し遅めの風呂から上がった後、自室で雑誌を読みながらくつろいでいた。
「...。」
♪〜♪〜
「こんな時間に誰じゃ?」
只今の時刻、11時30分。
俺は軽くイラつきを覚えながら携帯のディスプレイを見た。
小さなディスプレイには、愛しい彼女の名前。
その名前を見た瞬間、先程までのイラつきは嘘の様に無くなり俺はすぐさま通話ボタンを押した。
「つばき、こんな時間にどうしたんじゃ?」
「ッまさ..は、る..たす..てッ..ッ..。」
「ッ!?」
いきなりのことに目を見開く。
携帯越しに聞こえてきた声は明らかに普通では無く、俺はがらにも無く焦った。
「どうしたんじゃ!?」
「おね、が...たす..けッ..。」
「つばき、今どこじゃ!?」
「う、ち..はぁ..ッ..ひぅッ..。」
「分かった!!ちょっと待っとれ!!」
慌てて携帯を切ると体が勝手に動いた。
俺は、コッソリと家を抜け出してつばきの家に走った。
そりゃもう全速力で。
乾ききっていない髪の毛が首に張り付いてくるのも気に留めず必死で走った。