□僕と私の狂気的約束
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「はぁ...はッ..くッ..。」
今、私は一生で一番速く走ってるかもしれない。
自分の意志とは関係無しに足が前へ前へと動いていた。
だけど足は鉛の様に重たいし、空気を力一杯吸い込んでも苦しさは治るどころかどんどん酷くなっていく。
「ッ...はぁ、はぁ..っく、ぅッ..。」
苦しくて、苦しくて、苦しくて。
だけど私は止まる訳にはいかなかった。
止まったら最後、私の命は無いかもしれないから。
だって私の後ろには...
不気味な笑みを浮かべている慈郎がゆっくりと近付いてくるのだから。
身体中は真っ赤な血でどす黒く染まっている。
始まりは、いつもと変わらない放課後だったんだ。
私は宍戸君を待っている間、大概の時間を教室で過ごす。
それは今日も例外ではなく、私はいつもの様に教室に居た。
「あ...プリント、探さなきゃ。」
私は明日国語の授業で使うプリントをロッカーに入れっぱなしだということに気付き、ロッカーを漁り始めた。
『えっと...あった!!』
ガラガラガラ。
私がプリントを見つけたのと同時に教室のドアが開く。
『あ、宍戸く...って、慈郎?』
そこに立っていたのは、自分の恋人ではなく幼なじみだった。