□神様、聖なる夜くらいは
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私と赤也は立海近くの公園でベンチに座っていた。
ヒュー..と、北風が吹いては枯れ葉が申し訳程度に着いている木々を揺らし、隣の赤也はブルリと体を震わせる。
ズビッと鼻を啜る赤也に思わず笑ってしまった。

私と赤也は去年の12月25日から付き合っている。
片やテニス部のエースで一つ年下の赤也。
片や昔から病弱で地味な図書委員の私。
何度釣り合わないと言われたことか、何度別れろと言われたことか。
それでも別れなかったのは赤也を信じていたし、赤也も私を本当に愛してくれていたから。
お互い支え合って、信じ合って、愛し合ってここまで来たんだ。
それも明日で一年。

そう、今日はクリスマスイブ。
12月24日だ。


「何か、あっという間でしたね。」


そう言って小さく照れた様に笑う赤也に私もつられて笑う。


「そうだね..。あ、バレンタインのこと覚えてる?」


「ちょ、それは忘れて下さいって言ったじゃないッスか!!」


慌てる様に言う赤也にやっぱり笑ってしまう。
あの時は本当におかしかった。
思い出してまたクスリと笑ってしまった。


「幸村君が赤也にあげるチョコ見せてって言うから見せただけなのに、赤也ったら勘違いしちゃって...。泣きそうになりながら"それは俺のです!"って幸村君のこと突き飛ばしちゃってさ。」


「あの後グラウンド100周させられるし、部長にも仁王先輩達にもずっとからかわれるし..災難だったんスよ。」


その時のことを思い出したのかげんなりと溜め息を吐く赤也。
その息が真っ白で少しだけ可哀想になった。


 
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