愛と殺意は紙一重

□い
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「ご馳走さまでした。」


「はい、お粗末様でした。じゃあ食器片してくるね。」


「あ、うん。ありがとう。」


やっとの思いで食事を終え、今は部屋に一人きり。
あたしは立ち上がってベッドに倒れ込んだ。


「あーあ、この足枷さえ無ければな。」


ジャラ..と、足に纏わりつく鎖を軽く引っ張ってみる。
まあ、分かってはいたけど微動だにしない。
とりあえずゴロンと、寝返りを打って足をパタパタ。(でも足枷の重さですぐ辛くなって止めた。)


「(みんな、元気かな。)」


ふ、とそんなことをしみじみ思った。
まだ拉致られて1日どころか数時間だけど。


「(明日、あたしが学校来なかったらみんな心配するだろうな..。)」


こう見えてもあたしは学校を休んだことがない。
元気だけが取り柄なあたしだ。
小中高と、今まで全て皆勤を貫き通している。
それが覆されるのもちょっぴり切ない。


「あみちゃん、さやかちゃん..。」


いつも一緒に居てくれる2人。
今日の帰りだって一緒だった。
あたしが学校休んだら心配してくれるかな?


「("まりあのことだから拾い食いでもして、お腹でも壊したんでしょ。"とか、..2人なら言いそうだなー。)」


大好きな2人を思い出して、小さく笑う。
そしてそのまま目を閉じた。

頭に浮かぶあの人の笑顔。
格好良くて、優しくて、あったかいあの人。
最近逢ってないな..。
部活、忙しそうだったもんね。
無理してないかな。
身体壊したりしてないかな。
ああ、逢いたいな。


「海斗、」


あたしは愛しい彼の名前を呟き、柔らかい眠気に身を委ねた。
願わくば、彼との夢が見れますように。








































いたい
  わせない

(瞼を下ろした瞳からは、無意識に一粒の涙が零れ落ちた。)


 
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