愛と殺意は紙一重
□は
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「あ、起きたんだね。おはよ。」
「え、あ、おはよ...。」
「お腹空いてるよね?もういい時間だし。」
壁に掛けてある時計を見ると、針は丁度夕飯時を示していた。
実際にお腹も空いていたので素直に頷いた。
幸村はその様子を見ると、少し嬉しそうに微笑んで「ちょっと待ってて?」と言い、また部屋を出て行った。
「(調子狂うな...。)」
さっきの"あの行為"は嘘かなんかじゃないかと思ってしまう位、さっきの幸村は優しかった。
まさにあたしが今まで想像していた幸村にピッタリだ。
だから調子が狂う。
あの変態魔王にだったら好き放題言えるのに、さっきみたいな幸村にはさすがに暴言は吐けない。
と、言うか負の感情が浄化されてしまうような気さえ起きてしまう。(実際に顔を触ってみても不快なベタ付きなんかは一切なかったしね)
自分の顔をペタペタ触っていると、ガチャッとドアが開き幸村が戻ってきた。
手にはおぼんに何かを乗せている。
「まりあ、カルボナーラ食べれる?」
「あ、うん。」
「なら良かった。」
ふらりと笑った幸村に内心ドキドキしながら小さく頷くと、幸村はまた小さく嬉しそうに微笑んであたしの目の前にお皿とお水の入ったコップが置かれた。
お皿には美味しそうに湯気を立てているカルボナーラ。
何とも食欲をそそるいい匂いがして無意識に唾を呑み込んだ。
「はい、フォーク。」
「食べていいよ」と言われながらフォークを受け取り、少しだけ幸村を見てあたしはパスタを口にした。
「う、わ...美味しい!!」
そのカルボナーラは本当に美味しくて、幸村が目の前にいることも一瞬忘れ素で感想を述べてしまった。
「ふふ、それは良かったよ。」
久々に手料理を食べた気がする。
普段はコンビニに頼りっきりだからね。(主にセブン●レブン)