愛と殺意は紙一重

□み
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まあ、その時のことはその時考える。

今は、幸村を信じるしかない。
...きっと大丈夫。



われるくらい
  みにすがりつく



バクバクと暴れる心臓が煩い。

ゆっくり、ゆっくり、幸村の手が背中から腰へ降りていき遂に腰に辿り着く。
あたしは無意識に息を飲んだ。


そして、あたしは、幸村にきつくきつく抱き寄せられた。


「(はあ、良かった。)」


心の中で安堵の息を吐き、力任せにあたしを抱き締める幸村に苦笑いを零す。
なんだか可愛い。


「どうしたの?」


「...。」


なるべく優しい声で問い掛けるが返事はない。
幸村は抱き付いたまま微動だにしないが、何となくだけど少しだけ震えている様な気がした。
あたしに縋る幸村を宥める様に髪を優しく撫でながら、もう片方の手で背中を軽くさする。


「幸村、大丈夫?」


「...。」


「幸村くーん?」


「...。」


「幸村君、そろそろ離れないかい?」


「...。」


「シカトかコノヤロー。」


「...。」


「え、なんで腕の力強めたの?ちょ、痛いんですけど。あたしの腰がお亡くなりになりそうなんだけど。」


「...。」


「痛い痛い痛いッ!幸村あんた態とやってんでしょ!!!」


「...バレた?」


そう言って顔を上げた幸村は悪戯っぽく笑っていて、悔しいけど超然可愛かったです、はい。


 
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