愛と殺意は紙一重
□い
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絹糸の様なまりあの髪を梳きながら、俺はもう一度愛しい彼女の名前を呟いた。
ふ、とまりあの目元が目に入る。
「あ...。」
そこには一筋の濡れた跡。
良く見ると睫毛にも小さな雫がちらほらと着いている。
「ねえ、まりあ..海斗って誰?その海斗って男に泣く程逢いたい?そんなにその男が大事?海斗と俺、どっちが大事?ねえ、答えてよまりあ..まりあ、まりあ!!!」
ギュッとまりあを抱き寄せる。
俺の前から離れないで、いなくならないで、一人にしないで。
「愛してる、まりあ。愛してるよ..。」
まりあの額に優しく口付けを落とし、俺はゆっくりまりあを離した。
頭を撫でて部屋を出る。
そしてポケットから携帯を取り出してとある人物をアドレス帳から引き出した。
プルルルル、プルルルル、プルル、ガチャ
「あ、もしもし?」
《ん..なんじゃ?》
「あれ?お取り込み中だった?」
《いや、一段落した所じゃ。》
「ふふ、部活後だって言うのにお盛んだね。例のゆうかちゃん、だっけ?Fカップの。」
《いんや、ももちゃんじゃ。ちなみにCカップって所かの。》
「って、そんなことはいいんだよ。お前に頼みがあるんだ。」
《なんじゃ?"例のまりあちゃん"絡みか?》
「うん。それと気安くまりあの名前呼ばないでくれる?」
《へぇへぇ、それで?》
「まりあの周りに海斗って男がいないか調べてくれ。」
《別にええが、情報がちと少な過ぎじゃなか?》
「しょうがないだろ。情報が無いからお前に頼んでるんじゃないか。」
《ククク、あの神の子ともあろうお方が...ま、ええわ。やっちゃるきに報酬は弾ませて貰おうかの。》
「分かってるよ。じゃ、そろそろまりあが起きるからまたね。.....仁王。」
ピッ
まりあ、俺だけのお姫様。
誰にも渡さない。
あいたい
あわせない
(クククッ..。)(雅治、さっきの電話だれ?)(ん?たった1人のお姫様に惚れ込んだ哀れな王子様じゃよ。)(ふふ、何それ。)