□君の体温は優しい睡眠薬
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眠れない、眠れないよ...。
助けて雅治..。
私は重度の睡眠薬使用者。
睡眠薬が無ければ勿論眠れないし、睡眠薬が無かったら生きていけない。
以前、私は雅治と付き合ったのがキッカケで私はいじめを受けていた。
落書きや物がなくなることは勿論、トイレに閉じ込められたことだってあったし、酷い時は集団リンチを受けたこともある。
そしてその時のことが、眠ろうとするとフラッシュバックしてチカチカと蘇るのだ。
─お前何か死ねよ!!!─
─キモいんだよブス!!─
─仁王君があんたなんか相手にするわけないでしょ?─
─あんたなんか仁王君は必要としてないの。─
あの頃の記憶がグルグルと頭の中を駆け巡り、気付いたら睡眠薬を飲まないと眠れない体になっていた。
飲んでは眠り、飲んでは眠りを繰り返す毎日。
だけどだんだん体が薬に慣れて睡眠薬が効かなくなり、最近は飲む量が増えてきた。
勿論雅治には言っていない...正確に言うと言えない。
だってこんな女、気持ち悪いでしょ?
そしてとある日の夜。
最悪の出来事が起きた。
ガサガサガサ。
『?…あれ?ない?』
そろそろ寝ようと思い、いつもの薬ケースをあさるが睡眠薬がない。
『!!!..そ、だった...昨日で終わったんだ。』
睡眠薬がないと気付き、どうしようも無く不安になる。
こんな日に限って、家には誰も居ない。
『ど、しよ...ッッ..。』
─早く死ねばいいのに。─
─あんたなんかに付きまとわれて仁王君が可哀想。─
─本当気持ち悪い!─
『やッぁ...ひ..ッく...ッたす...て..。』
息が続かない。
うまく喋れない。
頭が回らない。
『ッ...まさ、は...ま...はるッ..た、けて...!!』
気付いたら、一番知られたくない人に電話を掛けていた。