愛と殺意は紙一重
□と
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「そこのゴキブリ二匹、そろそろその汚い口を閉じたらどうだい?」
そう言って現れたのは、
「俺のまりあがお前らの吐いた汚い息で汚れたらどうするつもり?」
見慣れた藍色の誘拐犯でした。
おわかれは
すとれーとに
「ッ、は?いきなりなんだてめえッ!!」
「待たせたね、まりあ。」
「ゆき、むら、」
「だめだよ、勝手に家を出たら。まったく、帰ったらお仕置きだからね?」
「てめえ、無視してんじゃねぇよ!!」
「靴も穿かないで飛び出したから本当に心配したんだ。」
「聞こえてんだろッ!!」
「ああ、でもまりあが無事ならいいか。早く帰って、」
「おい、ふざけてんのか!!」
「あ、の..幸村、海斗が...。」
完全にあたししか眼中にない幸村は、目の前の二人のことなど完璧に無視して喋り続けている。
幸村のいきなりの登場に女はポカンと間抜け面を晒しているし、海斗にいたっては今にも殴りかかってきそうだ。
あたしはそんな二人があまりにも不憫だったので渋々口を開いた。
「ん?...ああ、忘れてたよ。」
「ッ、」
そう言って海斗を見据えた幸村の目は酷く冷たくて、こんな幸村見たことがなかった。
蛇に睨まれた蛙、今の状況はまさにこの言葉通り。
海斗は一応だがこちらを睨みつけているがその顔は真っ青で心無しか震えているような気がする。
女の方は既に涙目で、今にも崩れ落ちそうだ。
つい数分前まであたしを馬鹿にして笑っていた二人が今は酷く惨めで...少し、笑えた。