愛と殺意は紙一重

□く
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頭の何処かで、銀色の詐欺師があたしを嘲笑った。



くばのおうじは
  っぱりこのひと



「(あいつらの、言った通りだ。)」


幸村や仁王の声が脳内をグルグルと回る。
もはや声すら出なかった。


「あ、分かったー。」


女の方がつけまつげをバッサバッサと揺らしながら口を開く。


「あなた、処女のまりあちゃんでしょ!」


「えッ、」


「初めてだから、って言って海斗が誘ってもヤんなかった子だよね?」


にんまり笑われながらいきなり言われた言葉に顔が微かに熱を持つ。
確かにあたしは海斗からの誘いを断った。
初めてだったから怖かったし、何より恥ずかしかった。
だけどあたしはそんなこと誰にも言っていないし、言う筈もない。
と言うことは、海斗が...?


「まりあちゃん、あたしらん中じゃ有名人だよー?」


「おい、そろそろやめとけよ。」


「別にいいじゃんか!」


「あ、あの...あたしらん中って、」


意を決して発した声は小さく掠れていて、そんなあたしに女は少し驚いたように口を開いた。

「えー?そんなことまで教えてもらって無かったのー?なんか可哀想。あたしらん中って言うのはねー、海斗の彼女達ってこと。」


さも当たり前のように言う女にあたしは頭が真っ白になった。
それでも目の前の二人は口を閉じない。


「はあ、普通に言いやがったよ。」


「えー?だめだったー?」


「...まあいいか。」


「だって海斗言ってたじゃん。そろそろ面倒臭くなってきたってさ。」


ああ、生きてる心地がしない。


 
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