愛と殺意は紙一重

□わ
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携帯から聞こえてきた声は、


「おん。聞こえちょるよ。」


思いもよらない声でした。



びわれて
  なごなになって



「え、だ、誰?え?は?」


「うん、慌ててるまりあも可愛いけどちょっと落ち着いて?」


「んー、予想以上に重症じゃな、これは。」


「何か言ったかい?」


「いや、なんも。ところで姫さんは俺が誰なんか分かっちょらんようじゃな。」


御名答です。
って言うか、


「あ、あの姫さんってのは..。」


「勿論おまんのことじゃ。」


「ですよねー。」


「幸村がおまんのこと名前で呼ぶと怒るんじゃもん。」


「当たり前だろ。まりあを呼ぶのは俺だけでいいんだよ。あと、いい歳こいた男がもんとかキモイ。」


「プリッ。」


なんか置いてかれてる気がする。
相変わらず電話の相手は分からないし、幸村は通常通り意味分かんないし、訳が分からなくなってきた。


「まだ分からんかのー。これでも一応うちの学校じゃあ有名人ぜよ。」


「な、んとなく聞いたことがある声なんですけど..。」


間延びした気怠そうな声に特徴的な方言、絶対に聞き覚えがある。
十中八九あたしも知っている人物だ。
有名人で幸村と親しげってことは、きっとテニス部の筈。

そこまで考えて、フッととある人物が頭に浮かんだ。


「あ、」


「分かったみたいじゃの。」


「もしかして、仁王君?」


「プリッ。」


 
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