ノベル
□‐彼‐
2ページ/9ページ
僕達が彼を変えてしまったんです
彼は普通の人でした。
特別に顔が良いわけでもなく、特別に話しが上手いわけでもない。
けれど何処か惹かれる所があって、僕は彼をよく気にするようになったんです。
彼は支配する側の人間としては珍しく、少々怖がりな面がある様で、僕のする怖い話を怯えながら聞いていましたよ。
僕は趣味の合わない人間に話し掛ける事は少ないのですが、彼は別でした。
本当に普通の、特徴のない人だったんです。
それでも彼は何時だってひたむきで、不条理なこの空間を、精一杯生きようともがいていました。
けど、今目の前に立っているこの人は…