ノベル

□ポヘと一緒
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「ポヘ!散歩に行こうか」

修一の呼びかけに、俺は一声吠えて応えた。


俺の名前はポヘ。パグのオスだ。

「いい天気だね〜ポヘ」

そしてこいつが俺の飼い主の修一。人間のオスだ。

ちょっと抜けている所もあるが、良い奴だし、俺はそんな修一が大好きだ。


「お!坂上じゃ〜ん!」

「斎藤?あは、奇遇だな」

「ああ、これぞ運命って奴だな!なんだ、犬の散歩中か?」

俺はサイトウとやらに撫でられた。

このオスは修一の友達か?
なら、しっかり挨拶しないとな!


「斎藤、暇なら一緒に散歩しないか?」

「お?なんだよ坂上〜。そんなに俺と一緒にいたいわけ?愛されてんなぁ俺」

そう言いながら、なんとそいつは修一にべたつき始めた!

…なんだこのオス。
まぁ、友達としてのスキンシップなら別に……


「なに言ってんだよば〜か!…わっ!重いってば!」

「へっへ〜!まぁお前がどうしてもって言うなら…」


はっ!!あれは…マウンティング!?

こいつめ!修一より自分のが偉いって言うつもりかこのやろう!
修一に近寄るんじゃない!わんわんわんわん!

「わ!な、何だ!?」

「どうしたんだよポヘ。そんなに吠えて」

そんなけしからん奴とは縁を切れ修一!

「もう、駄目だろポヘ!…悪い斎藤。僕、もう行くね。また学校でな!」

「え?あ……ああ、また、な」



「もう、ポヘったら!なんでいきなり吠えたんだよ……斎藤も犬、飼ってたのかな?」

修一は分かってないんだ。俺以外のオスは皆危険なんだぞ!
前にも変なオスに襲われそうになったことあるじゃないか!

…俺が助けたけど、修一、襲われことに気付いてなくて笑ってたな……


この前だって、何故か千葉に来ていた送り犬の奴が、よりによって修一に着いてきたし……あれは本当に肝が冷えたな。

最近では家に水浸しの変な女が来たり、片足の婆さんが来たり、赤ん坊来たり、もうわけが分からない!

全部俺が追っ払ったけど、修一はどうも変な奴に好かれる体質みたいだ。

だから誰にでも迂闊に近寄っちゃ駄目なんだ。


でもメスなら、良いな。それで早めに子作りをして欲しい。
俺は生きてるうちに修一の子供が見たいぞ。


でも修一は素直な奴だから、悪いメスなんかに捕まったら大変だな……

よし!この俺が修一にピッタリのメスを見つけてやる!
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