Pノベル

□笑顔
1ページ/4ページ



「…ぅあっ…しんど…さ……や、だ」

泣きじゃくる坂上をみて、俺は胸の奥からどす黒い何かが沸き上がるのを感じた。




坂上の笑った顔が好きだった。

最初は話し掛けてもビクつかれるばかりだったが、そのうち坂上も打ち解けて、自分から話し掛けてくるようにまでなった。

俺と話すことで笑顔になる坂上を見ていて、悪い気はしなかった。
いや、寧ろ嬉しかったんだ。

結局は、いい気になってたんだよな、俺。



初めて感じた違和感は、あいつの話をした時だった。
あいつの名前が出た途端、坂上は急にソワソワしだした。
まぁたったそれだけのことだ。その時は気にも留めなかった。


次の違和感で俺は気付いちまった。
あれは、俺が廊下で坂上と話してた時だ。

あいつが俺らに声を掛けてきた。
いや、正確に言うと坂上に、だな。

坂上は呼び掛けに驚いて、あいつに笑顔を向けた。



その笑顔は、俺に向けているいつもの笑顔とは違った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ