Pノベル
□笑顔
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「…ぅあっ…しんど…さ……や、だ」
泣きじゃくる坂上をみて、俺は胸の奥からどす黒い何かが沸き上がるのを感じた。
坂上の笑った顔が好きだった。
最初は話し掛けてもビクつかれるばかりだったが、そのうち坂上も打ち解けて、自分から話し掛けてくるようにまでなった。
俺と話すことで笑顔になる坂上を見ていて、悪い気はしなかった。
いや、寧ろ嬉しかったんだ。
結局は、いい気になってたんだよな、俺。
初めて感じた違和感は、あいつの話をした時だった。
あいつの名前が出た途端、坂上は急にソワソワしだした。
まぁたったそれだけのことだ。その時は気にも留めなかった。
次の違和感で俺は気付いちまった。
あれは、俺が廊下で坂上と話してた時だ。
あいつが俺らに声を掛けてきた。
いや、正確に言うと坂上に、だな。
坂上は呼び掛けに驚いて、あいつに笑顔を向けた。
その笑顔は、俺に向けているいつもの笑顔とは違った。