Pノベル
□笑顔
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坂上は最初、かなり痛がっていた。
坂上が痛みに顔を歪めるのを見ても、感じるのは罪悪感ではなく歪んだ喜びだった。
― 俺がこいつの初めてなんだ。荒井じゃなくて、俺が ―
馬鹿な考えだと分かってはいた。だが俺がコイツを組み敷いている事実に、俺の頭は優越感と陶酔に震えていた。
「俺にしろよ、坂上……」
情事の最中、俺は坂上に呟いた。坂上は、涙で濡れた虚ろな瞳で宙を見つめている。
「俺を…見ろよ……」
坂上が俺に答えることは無かった。
「あっ…はぁっ…荒井さ……荒井さん……」
坂上は泣きながらあいつの名前を呼び続けていた。
……畜生っ!
俺は一層激しく突き上げ、喘ぐ坂上の中で果てた。
ことが終わると、坂上はぐったりと動かなくなった。気絶した坂上の頬に手を這わせ、涙を指で拭う。
……もう取り返しは付かないだろう。
「何で…俺じゃ、駄目なんだよ……っ!」
二度と俺には見せないであろう、あの笑顔を思い浮かべ、俺は折れそうなこいつの身体を強く抱きしめた。
終