暗い夢

真っ赤な愛情
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ドッ……




「が、はっ…あ」




私のお腹に切原君の拳がめり込んだ。
鈍い音とともに力無く崩れ落ちる私の身体。

血反吐まではぶちまけないが、だらしなく、嘔吐。


(…みっともない。)
(やっぱ年下とはいえ男の子だなぁ、苦しいや。)


なんてのん気な事を考えながら、床にはいつくばってひゅうひゅう呼吸をしていると、切原君が私の首を無茶苦茶に持ち上げた。



(ああ、苦しいよ切原君)



首をギリリと締め上げられれば、酸素を求めて金魚の如く口をパクパクとする。


(きっと今、とんでもなく間抜けな顔してるんだろうな)



それでも緩まない切原君の腕と、治まることを知らない真っ赤な瞳。


いよいよ本格的に苦しくなってきて、私の虚ろな瞳に映るは切原君の冷酷に歪んだ笑顔。






(ああ、私、)



どんなに歪んだ笑みだとしても、どんなに冷酷な笑みだとしても、


私は切原君の笑った顔が好きなのです。




目を閉じゆく瞬間、最期に見たのは貴方の歪んだ笑顔。

 






(あ、いい夢見れそう)

 

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