暗い夢
□真っ赤な愛情
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ドッ……
「が、はっ…あ」
私のお腹に切原君の拳がめり込んだ。
鈍い音とともに力無く崩れ落ちる私の身体。
血反吐まではぶちまけないが、だらしなく、嘔吐。
(…みっともない。)
(やっぱ年下とはいえ男の子だなぁ、苦しいや。)
なんてのん気な事を考えながら、床にはいつくばってひゅうひゅう呼吸をしていると、切原君が私の首を無茶苦茶に持ち上げた。
(ああ、苦しいよ切原君)
首をギリリと締め上げられれば、酸素を求めて金魚の如く口をパクパクとする。
(きっと今、とんでもなく間抜けな顔してるんだろうな)
それでも緩まない切原君の腕と、治まることを知らない真っ赤な瞳。
いよいよ本格的に苦しくなってきて、私の虚ろな瞳に映るは切原君の冷酷に歪んだ笑顔。
(ああ、私、)
どんなに歪んだ笑みだとしても、どんなに冷酷な笑みだとしても、
私は切原君の笑った顔が好きなのです。
目を閉じゆく瞬間、最期に見たのは貴方の歪んだ笑顔。
真っ赤な愛情
(あ、いい夢見れそう)