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□人魚が死んだ理由
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泡が立つ。ぶくぶくぶくぶく。沈んで、逝く。人魚姫はかつて泡になって海に沈んだ。いや、あれは沈む前に消えたのか?
どっちにしろ、恋に溺れて逝ってしまった事に変わりはない。
「何、考えとる」
私の腰を掴みめちゃくちゃに膣を突き上げる仁王が無表情を浮かべてそう言った。
「別になっ…にも、…あっ」
アンアン喘ぎながら考え事をしていた私はなかなかの器用な人間だと自分で感心したが、そんな感心事も仁王によって壊滅させられてしまう。ずんずんと中を突き上げる性器に私の思考は麻痺をした。
「…ふーん」
無関心にも嫉妬心にも取れる声色で小さくそう口にした仁王は、更にガンガンと腰を打ちつける。膣をえぐるようなその感覚に、悶えに悶える私。
「ひいいっああぁ…」
「あー…、最っ高じゃ」
艶やかな声が耳に届き、額に汗を浮かべて気持ちよさそうにうっとりと目を細める彼がいた。そんな彼をもっと喜ばせてやりたくて、喘ぎながらぎゅううっと大きく勃起したものを締め付ける。うあ、と小さな声。
「締め付けす、ぎ…ぜよ」
彼の性欲もいよいよピークに達してきたのか、腰を打つスピードがまた上がった。ガタガタと振動で身体が揺れる。声も震える。
「あぁあっああ駄目駄目だ、め…!いっ、イ…あ!」
激しく揺られる中、不意にガリ、と唇を噛んでしまう。ピリリと小さな痛みを感じ、唇から赤い液体がこぼれて口内に心地いい鉄の味が広がった。それでも止まらない快感に、そんな感覚さえも麻痺をする。まるで、まるで水中に身を潜めた時のような、ふわふわとした感覚に変わる。
「っあぁああっ、におっ…!」
「…っく、イ、け!」
ずんっと一際大きな力で数回腰を打ちつける。びゅるるっと私の中に熱い精液が発射され、同時に私も大きく痙攣をさせて果てた。はあはあと荒い息づかいが部屋に木霊する。
「よかったぜ、よ…」
赤い血が付着した唇に吸い付いた彼の顔がとても近い。
私は恋に溺れているかもしれないと冷めた頭でそう思う。目の前で私に口付けをする彼に溺れてイかされる。イく、逝く。ぶくぶくとそれはあっという間に、虜という名の海に沈んでゆく。
(でもまあ、それはそれでいいかもしれない)
ふわりふわりと意識は朦朧。恋に溺れて私は今日も、彼にイく。
甘く痺れるような熱いキスと、中に放出されごぼりと溢れる彼の精液とを感じながら、うっとりその感覚に酔いしれた。
人魚が死んだ理由
(彼という快感に溺れ、逝く)