明るい夢
□18時の帰り道
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そんな毎日を繰り返し、また今日も18時のバス内で日吉君を見つめていた。
サラサラそうな髪の毛も、テニス部の人たちと話しているときの生意気そうな表情も、全てが素敵だと思う。
ごくたまに見せる笑みを見た日には、顔が自然に緩み家に着いて尚もニヤけは止まらない。
(友達に話したらキモいって言われたけれど、気にしたら負けさ、)
そしてまた、私と日吉君の二人だけの空間が始まった。
もちろんバスの運転手さんはいるけれど、乗客は他にいない。
いつものように日吉君を見つめながら一時の幸せを感じていた。
そんないつも通りの18時だと思っていた、のに。
(うわ、わ…、こっち見た、)
この日、初めて日吉君と目が合った。
私は慌てて視線を外し、なんだか恥ずかしくなって俯いた。
いつも見ている一点とは違う、自分のヒザの上に置かれた握り拳を見つめながらジッと身を固めていた。
心臓がドクドクと忙しなく震える。
私が顔を上げられずに俯いたまま固まっていれば、不意に近くに気配を感じた。
俯きながら目線だけを横にズラしてみれば、そこには青色の氷帝の男子制服。
このバス内にいる乗客は、私と日吉君の、二人だけ。