桃海小説(短)2

□猫に生まれた
1ページ/1ページ


海堂は、俺を睨んでどこかへ行った。

つるむこともしないから、一人で走りにいったんだ。
あ、でも、最近は乾先輩とよく一緒に居る。

特定した人間といるあいつに、酷く嫉妬を覚える。



「海堂は、蛇っぽいけど、実際細かくみると猫なんだと思う」


ある日、俺と不二先輩が話した日のことだ。


「なんすか、それ」

「うん、ボクの観察結果、」


にこやかに話す不二先輩は、俺のほうを見ると
「君も分かるんじゃない?」と一言言った。



英二とかは、実は猫じゃないんだと思う。
そんな話も、不二先輩は持ち出した。

「英二は、俊敏で語尾に『にゃー』とかいって
 そのうえ気分屋。まさに猫なんだけどー、
 ボクのイメージ的には、海堂とか越前とかのがぴったりなんだよね」


猫。


その時、俺の頭にはその言葉を深く読み取るばかりか
海堂の猫コスプレまでに行き着いていた

悪くない。



「雰囲気とか、猫って感じしない?
 って、聞いてるのかな、桃?」

「え、あ!わ、分かりますよ。!!」

「ふふ、君は大型犬って所かなぁ」


「は?」


そこまでいうと、不二先輩は、向こうにいた乾先輩を見つけて立ち上がる。
そうして、俺のほうを振り向いて「ボクはナンなのか、考えておいてね」といった。



不二先輩が何で俺にこんな事を言うのか。
きっと意味はないんだ。
ただ、妄想として猫な海堂は萌えた。







「か、いどー」

「あ?」


愛想なく振り向いた俺の恋人に、俺はわざと抱きつく。


「だぁあ!なんだテメェ!!」

「うぅ〜ん、そっけない所がまた萌え」


頭突きを食らって、俺はスグ海堂を離す。


「で、何の用だ」

「…よ…うという用じゃねーんだけどよ…」


やっと、乾先輩から離れたんだから、これがお前と親密に話すチャンスである。


「お前ってさ、嫉妬したりする?」

「…なにに?」


「な…なにって…俺がよー。他の奴と仲良くしてたりすんのとか」

「しねーよ」


「なっ、少しくらいは…」

「まったく」


「ひ、でーー!!!」



俺は走ってその場から離れた。


「で、なんでボクの所にくるかな、」

「だって…不二先輩!海堂ひどいっす。俺はこんなに心配なのに
 乾先輩に今にも、とって喰われるんじゃないかと…!」

「…ボクが言ったこと分かってないね」

「え?」


不二先輩はそういうと、俺に何処から出したか分からない『猫の本』を渡した。


「え、不二先輩これ…(今どっからだして…」

「それ、読んで勉強しなね」

「え…はい…(ていうかコレ、今どこから…」



頑張って、そういって不二先輩は夕日に消えていった。 不思議だ。





その夜、俺はベットの上に横になって本のことを思い出した。
猫って、海堂は本物の猫じゃねーって…。

でも、見て損はないと思って、俺はぺらぺらーっと何気なく開いたと思ったとき。


『猫は嫉妬深い』
という文字が俺の目に付いた。

猫は飼い主を慕っている場合
その飼い主と親しい関係にある人間に
攻撃する場合がある


海堂は、嫉妬深いであろうか?
いや、今日のあの態度をみても
そんな様子は少しも伺えない。

むしろ無関心だろう?




でも、もしもそうだとしたら。
そう考えてみたら、
海堂は、俺が人と話すたびに苦痛を感じているのか

顔が緩みそうになる。


これが、本当なら。
俺が粘り強く絡んでけば、
海堂は白状してくれるんじゃないか

本当はさみしいとか


そんな言葉がきこえたりするかな。




俺は一人 くつくつと笑った。
不二先輩の言うとおりかも知れねぇ。



俺が触ってやったら、ゴロゴロ言うかもしれない。


俺はスグ携帯電話を手にとった。
ぷルルル…という電子音が3回なると
相手は低い声で出る。


『なんの用だ、この時間に』

「よう、薫」

『かお…っ』

「俺さ、嫉妬深いんだよね。お前のこととなるとさ」

『…?は』

「だからさ、俺、お前から離れない」

『な…なにいって…』

「だって、お前素っ気無いんだもん。
 俺が女の子と話しててもナンとも思わないんだろ?」

『…』

「誰かと手つないでてもいいんだろ」

『てめぇ…』

「キスしても?」


『ざけんじゃねえ!!!!』


俺は携帯から耳を遠ざけなかったので
怒鳴り声を直で受けた。


「か…かいど、耳いてぇよ…」

『ふ…ふざけんな、てめぇそんなことしてたのか?!』

「は?え?これ例え話で…」


『ばかだろテメー!俺は、俺が…どんな思いでいるか!!
 テメーの周りは人だらけじゃねーか!
 誰とも、仲良くて…
 俺とは違う、お前は俺とは違うから、俺は見ないフリしてたのに』



「お、おちつけ!たとえ話だから!!!」


『お前が他の奴と居るだけで、むかつくのに
 そんなこといったら、俺はきっと壊れる』


「か、かおる」


『壊れる…』





あんがい脆かったりするから。
こいつは、ほっといちゃいけなかったりする。


ソレが今回の教訓だったり。




「お前かわいいなぁ…」


『俺は、きっとお前より嫉妬深いからな』


「それは嬉しいんだって」


『お前と違って、限定だからな』


「…俺だって、限定だって…」


2009 10 12


猫について調べると
海堂すぎて萌える・・・

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ