桃海小説(短)2

□いつも見てましたずっと見てました
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いつも見てましたずっと見てました



海堂、
呼ばれて振り向いた。
振り向くや否や、桃城は俺の頬に軽く口付けた。
なにかと、頬に手をやると痛みがはしる。


「いってぇ…、?」

コイツがなんかやったのかと思って、睨んだが どうやら違うようで。
「お…い、俺べつになんもしてねーよ!
 なんか紅くなってルナーって思ったから!」

なんか、ちゅーしたほういいかなーって。
とわけのわからない事をぬかすと、桃城は
ほっぺ痛いの?もっかいしてやろーか。とニヤニヤして俺を覗き込む。

「いらねーよ。鏡もってこい。」
「めんどくせぇー。お前のへヤなんだから、お前が動くべきだ」
「わかんだろ、鏡ある場所」

桃城は、少し眉をよせた。

「それは、誘ってると受け取っていいのか」
「どーやってそうなる、ぼけ」


いや、そーいうのってよー、と桃城は何かもそもそといった後
俺の方を向きなおした
「ん、海堂。鏡ならお前、でっかいのがあるじゃねーの。」
「まぁな、」
桃城はどっこいしょ、と立ち上がると
俺のことをちらりと見て


「抱っこと歩くの、どっちえらぶ」

「あるく」

俺は立ち上がって、器具の前にある大きな鏡に向かって歩き出した。
「あ、なにそれ、空気よめよ!俺立ち上がったのに」
鏡に映った俺の頬は、俺の想像とは少し違い
紅いか、紅くないか、分からない程度の腫れだった。


「なんだこれ」」
「虫とかじゃねーの?、かゆい?」
「いや…」

鏡越しで桃城は心配そうに、俺の頬をみる

たいして、わかんねーよ、こんくらい
自分でも気づかなかった


桃城はふーん、というと
今度は、鏡でなく、実像の俺をみて、少し首を傾けたと思った




「かいど…」
鏡の中で頬にキスをされる、自分をみた。
なんで、そんな顔……

角度を変えて桃城は、また同じ場所に口をつける 
こいつの髪が頭にあたる


俺は自分の顔から眼をそらした。



嫌そうな顔くらい、もっと上手く出来ないのか。



気づけば、トレーニング機の上に俺は横たえられていた。
桃城は俺の髪をすくうと、また頬に口をつける。


「俺、いっつもあんな顔してるか」
「してる」
頬に口を付けた状態のまま喋ったので、俺は少し痛がった。

「ナンだ、そんなに痛てぇの?もしかしたら針でもささったのか?」
「サボテンとか、か?」
「みてやるから、ちょっとじっとしてろ」

桃城はもうすこし乗りあがると、俺のあごに手を添えた。
「あーちょっと、針あるかもな、」
「じゃ、どけ。ピンセットとってくる。」
「俺とってやるよ、」
そういうと、桃城は降りて走っていった。

やけに素直、

アイツが戻ってきた時には、俺はもう起き上がって、座っていた

「寝てろよ、ムードねーぇなぁ、ムードがねぇよ」
「んなもんいムードなどいるか、はげ」


はげじゃねー、桃城はそういって俺のあごを、くっと持ち上げた
「あー針ある。いま…とって…やぁーるから…」
桃城は目をほそくして頬を見ていた、
鏡があるから、随分自分達が奇妙なものかが分かる。
ちけぇなぁ…。

「おら、とれたぜ、海堂」
「ん。」

俺は、桃城が手にする針をみて、その場をさろうとした


「ちょっと待てよ…」
つかまれた腕は、離せそうにもなく、俺はしぶしぶ振り向く。
「まだ、針あるかもよ、俺さがしてやろーか」
ニヤケ顔が直らない桃城の考えていることなんて
スグに分かってしまったが、断り方も分からず(きっともう諦めるべきなのだ

俺はまたトレーニング機の上に横たえられた



2009、8 13

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