桃海小説(短)2

□ソレいらない。
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「あーも。待てってば。海堂!!!」

「付いてくんな…!!!」


俺達のダブルスは負けに終わったが、
他の先輩、越前の活躍もあって
青学は勝利を刻んだ。

その帰り道である。



「海堂…!俺、は!!!」


「どっかい行け!!!」


俺は弱かった。


コイツが一人で奮闘していた時。
いろんな事を考えた。



なにが俺に足らなかった…?

あんなに練習したじゃねぇか。
見ただけで、打てるなんて。

俺が…弱いんだ。


コイツは千石さんと戦った時、自分と同じ技を返された。
どうして、あそこから 笑顔でいられる?


俺は、



すべてでコイツに劣っているのか?



「海堂、今日のバンダナさ…」

不意に肩を置かれ、反射するように俺はその手を払いのけた



「ってぇ……何…」

「自業自得だろ」

「あ?俺は別に、話しかけてただけだろ」

「話しかけるなって言ってんだ!!!」



よくこんな路上で叫べたものだ。
自分でも少し驚いたが、桃城がそれ以上喋らないのを確認して
前を向いて歩き出した。

とき、




「!!!!」

背後から力強く抱かれる。

「は はなせっ!!」

カナリ焦った。
先ほど、自分が叫んだため、誰かが見ている確率も高くなる。


「誰が離すか、マムシ野朗」

「!!!てめぇ!マムシって言うんじゃ…」

「海堂、チューしてやろうか」


俺の脳内では、桃城に一発食らわせたところだ、
しかし、予想以上に後ろからの抱きしめる力は強く、
振りほどくことは出来ない。
むろん、それは叩くことが出来ないということ。



俺にもコノくらいの力が欲しい。




筋トレは欠かさずしている。

コレは筋肉の質の問題なのか?




「海堂?きいてんのか?」

「…聞くもなにもねぇ…。離せ。」

そういうなよ、と桃城は、相変わらずな口調で言うと。
海堂のジャージを握り締めた。



「一応試合は終わったことだし、次の試合まで結構あるんだし、
 今日は一緒にあそびてーなぁと思って」


な!、俺を振り向かせると、肩を掴んだまま
子犬のような顔で

「俺の家遊びに来いよ」


足元には血がにじんだバンダナが巻かれていた。

俺が怪我させたようなモンか…。




「…足は…いてぇか」


「あ?足?…んー。擦り傷みてーなもんだし」


「そうか…。」




コイツのお陰で、無様なまま 試合を終わらせずにすんだ。
俺は、コイツのお陰でここまでこれた、
ソレを今日、不覚にも感じてしまった。

俺が弱いのは知っている。

だから



「今日は、…駄目だ」


「ぇ」

桃城は一気に表情が暗くなる。



「なんで、海堂。俺と、遊びたくねぇ?」

「悪いが今日は…」


「いや!確かに!遊びといっても…そりゃぁ…ごにょ……なんか…
 なんか事故ってそんな不陰気になって、あわよくば、海堂とセッ…」


「だあぁああ!!!余計なんだよテメーは!!」


べしっとオデコを叩くと
桃城は だってよーと少し涙目になる。



「海堂、俺としたくない?」

「…だからっ そうじゃねーっつってんだ」


「…なんだよ…」



桃城の足のバンダナのイロは変色していた


…、



俯いた桃城は本当に悲しそうでさびしそうで。

ちらチラと俺のほうを見てくる。


「だから…今日は遊ばないって…それだけだ」


「練習する気だろ…。大石先輩も今日はゆっくり休めって言ってたじゃねーか」


「…っ。俺は疲れてねぇ」


「明日の為に今日は休む、それじゃ駄目なのか」


いよいよ駄目かもしれない、と桃城は必死で俺を食い止めようとする。

なんでコイツは無駄にかわいいんだろう。


今日はあんなに男らしかったのに…。



腹が立つほど、コイツは男前で。
試合中、俺は悔しかった。


コイツに負けている気がしたから。



そんなのに惚れたのも俺で




今日の試合で、それを再確認するはめになったこと。





俺は





「あーも…」










コイツのことを甘やかしてしまうほど


「今日だけだぞ」


自分の事も甘やかしてしまうんだ。








「頑張ったご褒美だよ。」

「ま じで!!!」















だから、その足のバンダナは君にあげる。




甘えた自分の ソレは 桃城だけが持っていて。












「バンダナ、俺もらっていい?」







「ああ」



それはいらない物。だから









2009 6 26


掲示版のリクエストです!
立海戦後の二人ですね!(ジャブンの



くどい !!!長い!!
萌え部分ありますか!?

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