桃海御題

□01.鎖
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痛みに堪えた


慣らしてくれなかったのは知識がなかった最初とこれで二度目



ジャラジャラと床に這う鎖に眉を寄せて、影をつくる桃城を見上げた。


俺を束縛したところで何も変わらないのに、コイツって奴は
何かに駆られて焦ったように俺の足に鎖を繋いだ



思い当たる節は、この間の女子。
決死の覚悟だったのだろう
俺に告白してきた彼女は、俺に断られると大粒の涙を零して
俺の不意をついた

二度と
普通に接することなんか望めないなら
せめてキスをさせてほしい
いうでも無く
彼女はそれを実行して逃げていった


だから俺は被害者なのだ


きっとそれを何処かしらでみていた
不安定な奴は

今だに精神がぐらぐらで危ない




そんなに俺を思ってくれていたなんて
想像するだけで嬉しくて

こんな状況にも堪え難い喜びを感じてしまうなんて

俺は間違ってるんだろうか



震える手で俺を触って
揺さぶってくる
その身体に教えてやりたかった





束縛なんかしなくても
俺はとっくにお前だけのモノなのに…。


触られた箇所が熱くて
揺れるたびになる鎖の音に

俺は桃城をゆっくり抱き寄せた




2011 2 13

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