桃海小説(短)3

□君を好きだと泣かせて殺して4
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 女の子は、ふわふわしていて、可愛らしい。


 俺は女の子が好きだ。



 この間、俺も以前から可愛いなと思っていた女の子から映画を見に行こうと誘われた。
断る理由もなかったから、即OKをだすと彼女はふんわりと笑って「ありがとう」と唇を動かす。
 
 可愛いとおもった。



 可愛い女の子と、映画、それはデートといって正しいだろうし、彼女もそのつもりで誘ったのだろうと思う。
嬉しいはずの俺は、


でも、その時俺はそれとは別の何かを確実に感じた。













 放課後、部活終わりにその彼女が姿を現した、
明日の映画の予定を立てる為に二人で一緒に帰ることになっていたからだ。


それなのに俺はすっかりそのことを忘れていたので
失礼にも素直に開口一番
なぜここにいるのかと疑問を口に出してしまった。


 それなのに、彼女は決して、本気で睨みもしない。
もうっと、口を膨らまして見せて



「桃くん、忘れたのー?昨日一緒に帰ろうって言ったでしょ?」


「あっ。」


「も〜、なに?何か考え事でもして忘れてたのかな?」




 その言葉に俺は思わず顔に熱が集まった。


考え事、『海堂』が脳裏を過った自分に訳が分からず顔が熱くなったのだ。








 しばらく、海堂とは二人きりになるのを避けている。
理由は数日前の海堂の言葉

潤んだ海堂の初めての弱気な表情。


 


思い出して、嫌な気持ちになった。






きっと、男からあんなことを言われて嫌悪を感じている。
相手が海堂であったなら尚更で、それは正しい反応だから、
俺は少しほっとしていた。

 ほっとするだなんて、酷いだろうか。


それが尾を引くのだろうか、彼女の誘いを断らないのは
自分が女に興味があって、
男とどうこうする興味はないのだと、海堂に主張したかったのか。


彼女は可愛い。
なんのデメリットなんてない。









なのに、なんでだろう。





 彼女と映画に行くことに何故か少しの罪悪感を感じたのだ。




2011 5 28

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