桃海小説(短)3

□彼のための
1ページ/1ページ



 日頃の疲れを慰労してやるよ、と

不気味に指を蠢かせて
近づいてくる桃城から逃げ切る方法はなかった。






ぐっと背中を押されて桃城のベットに沈められるが、
俺だってただで何かされるわけにはいかないから
暴れようとはしたのだ、


それなのにあいつの行動はこういうときだけ、何をとっても無駄はなく、
沈めると同時に桃城は俺の腰に跨った。


「わっ!!ど、どけ、ばか!!!」


「なんで、慰労してやるっていってんだろ?お、となーしく、俺に任せとけよ」




今から何をされるかわからない俺は
体を強張らせて、シーツを握りしめた。




「おいおい、そんな固くなんなよ…。」

「ぅぐっ…?」



 ぐっと、桃城の指が背中を指圧していく。
その動作は、そのまま変わらず心地よく続いて
だんだん体がぽかぽかしてきた。



「…な?俺案外うまいだろ?」

「…、」


 腰あたりが終わると少しずつ上にずれていく指に
先ほど『ナニ』をされると思っていた俺は、そんな事を考えてしまった自分を恥ずかしく思い、
 それと、桃城に対する少しの罪悪感も感じた。

日頃の行動だってあるから、俺が全部悪いわけではない、だから、少し、だ。




 そのまま会話はなく、俺もだんだん気持ちが良くなってうつらうつらと目を瞑った。










 どれくらい経ったのだろう。
だいぶ寝てしまったようにも思える。
体が未だにぽかぽかとしていて、桃城のマッサージはもう一度くらい受けてもいいと思った。
しかし、いつの間にか自分が上向きで寝ていることに気付く。
それと、体に重み。


うっすらと目を開けてみれば、俺のマッサージをしていた桃城が俺に覆いかぶさったまま寝ている姿が目に入った。


ふっと笑がこみ上げ、相手が眠っていることもあったのだろう
俺は表情を隠すこともなく愛しさを笑みに浮かべ
自分の手で桃城の頭を触ろうとしたのだ。


 が、その時。
同時に自分が上に何も来ていないことに気付く。

慌てて桃城の重みから足だけを救出し
みれば、ズボンはしっかりはいていたのでホッとした。



ったく、コイツというやつは、

思えば仰向きにさせたのもコイツだろう。
コイツが乗ってるんだから、寝返りだって出来るはずないのだし


そして、マッサージして暇にでもなって上だけでも脱がしたんだろう。
ズボン脱がされて、エロいこと強制しなかった分は許してやれもするが…


それにマッサージは本当に気持ちよかった。




 殴るための握り拳をゆっくりと開いて、桃城の頭にふわりと乗せる。




「お礼がエロい事とかいったら…、次はぜってぇ殴るからな…」





すやすやと目の覚めない彼の頬に、ゆっくりの口をつけた。





2011 5 29


やぁーんw本当は、エロいことをさせようと思ったけど
ほんわかもいいでしょー・

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ