桃海小説(短)3

□君が好きだと泣かせて殺して3
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なんら、変わることはなかった。



桃城に聞かれたと思っていた、あの"言葉"は、
桃城には届いていなかった。


安心する心と、そして、何処か、
それが拒絶の答えだと言われている気がして

吐き気は絶えなかった。





耐えられない、

――きっと、俺はこれを耐えられない。




三年生は、もういなかったから、
俺達でひっぱっていくはずのテニス部




それでも、二人きりになる回数はめっきりと減った。
俺が避けているからなのか、それとも、


あいつが避けているのか。




部長と副部長である俺たちの話し合いには、必ず他の誰かがいて、
気まずい空気になることもない。


それも俺の思い過ごしなのかもしれない。







思い出すのは、あの日
抱きしめてくれた桃城の暖かさだけで
それは俺を穏やかにさせるのではない、

吐き気を強くさせた。




この暖かさが欲しくて、ほしくて、
それなのに、あの暖かさはいくら望んでも、

足掻いても、

手に入るものではないのだと






両手で自分の体を抱きしめて
自分の体を何かから守った。



















部活終わり、
目の前に移るのは、


可愛らしいという言葉に当てはまる、ふんわりとした女子と桃城が笑いあう姿で、



遠目に見ても、桃城とその女はお似合いだった。
背丈は桃城より10センチ低い
髪をながく栗色で二つにまとめていて、
すこし上目使いをするように桃城を見上げる。

女の子だ。




その子が、何かを喋ると
桃城が照れたように笑った。







いつかは絶対来ると思っていた、
だって、桃城は明るくて、女の子にだって好かれるのだから。










桃城は女の子と付き合い始めた。
























俺の吐き気は強くなった。






2011 5 27

続き、短め!

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