桃海小説(短)3
□結んで開いて
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妹が手で編むマフラーにはまって
毛糸が家の中に放置されるのをみるようになった。
女の子らしくなってくのはいいんだけど…
こう、ものを乱雑に置かれては困る
と、人のことも言えない俺だが
片付けろーと声を張って
赤い毛糸玉を拾った。
赤い糸、というのを知っていた。
運命の人とつながってるソレに、少しは興味があったりして、
妹にはばれないように、糸を30センチほど伸ばすと
近場にあったハサミで切り落とした。
次の行動なんて決まっている。
明日の海堂への悪戯だ。
でも、それは悪戯でしかない、
決して、本気のものではない。
自分に言い聞かせて、ほくそ笑み
小指にその赤を照らした。
悪戯に、本気の楽しみを覚える俺に笑ったのか、
それとも、その悪戯に本気で焦るであろう海堂の顔を想像したからなのか。
どちらでもいい。
しばしの、つながり。
それを、目の前で、
いとも簡単に切ってやるのだ。
自分の曲にも、自分で呆れる
本心はいったいどこにあるのか。
そんなもの、本人でさえわからないのだ。
モラルなど、
2011 2 12
たまには短い、あいまいな二人でも