桃海小説(短)

□試行錯誤
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彼の機嫌を取り戻すのは

試行錯誤を重ねなければならない。






「おい…」

桃城は機嫌が悪いと、表情がいつもと逆転して

それはもう、空気が重い。



「なんか…したかよ?俺…」

「してねーよ…」



顔さえ見てくれない。

絶対なんかしたんじゃねーか。俺



「桃城。」

「…」

俺には桃城みたいに、人の機嫌を直すなんて出来ない。

少しは俺だって、気をつけてるんだ。



なのに今日は


俺がナニをしたのかぜんぜん分からない。




もう一度 桃城の名前をよんだが
返事は返ってこなかった。


ソレっきり部屋は静まり返る

こういうときは 無駄に時計の針の音が五月蝿い。










つらいんだよ。




お前に本気で嫌われることが死ぬほど怖い。

今だって、仲直りすることが分かって至って。


死ぬほど怖い…




怖くて 怖くて…
後悔するくらいなら。
今死んだ方がいいと思ったりするんだ。



ずっと一緒に入れるなんて
思ってない。


そんな希望、
いつかは…。


桃城はいつか…。













いろんな事考えてるうちに、なんだか目頭が熱くなった。

熱いものが頬をつーっと流れ


床に落ちて冷たくなった。





こんなに涙もろかったか?俺…

自分の事で泣いたのは久々だ…。




膝を抱えて 桃城から涙が見えないようにする。


「スキダ…」


空気に溶けこんだ言葉は
余りに小さすぎて、自分にさえ聞こえなかった。



「桃城…俺は…ずっと。」







「お前のこと…」









瞬間、息が出なくなる。


いったいナニがおきたのか、そんなことは

一瞬で理解した。



「っ ぅん」

いつの間にか桃城は俺の目の前にいたらしく。



俺にさえ聞こえない、言葉、を聞き取った



「ハッ…んむ…ぅ…」







息が詰まるくらい 奥へ奥へ、
深いキスがせまってくる




苦しい。




そんなのは脳裏に少し掠めただけだった。



何度も何度も、顔の角度を変えてキスを深いものとしていく


いつの間にか俺は床の上に横たわり
桃城は俺に跨って キスを続けていた。









「プハッ…!!ハッー」




やっと口を離した


俺は横たわりながら、桃城の腕をつかんでいた
上に乗っている重さが心地よくて




二人は顔を上気して



 『はぁーはぁー』

と単調な息をきらしていた






「…はっ…海堂…俺は、ぜってぇ一緒にいるからな…。
 死んでも…。テメェが嫌だっていったって。」


「好きな奴できたって…、俺のこと嫌いになったって、…ぜってえ離してやらねぇからな」








そんなの俺のほうが…







「俺だって心配になんだよ。
 海堂。たまには、気持ち伝えてくれよ」






頷くしかなかった。

今のその気持ちが素直に嬉しかった。


「好きだ」









でも いつかお前は…。










どうも今日の桃城は心が読めるのか

また深い口付けをされた







「で お前なんで機嫌悪いんだよ」

「欲求不満」

「……降りろ…。」



2008年12月11日


とかなんとか いいながら
海堂は ずうううううううううううっと

桃城と一緒です

死んでも一緒です

絶対絶対

ずううっと一緒です

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