桃海小説(短)

□恐怖から身をまもる方法
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俺は小さいころから

おばけ・幽霊
そういう類は大嫌いだ(怖いのだ


ソレだというのに…


「海堂〜俺DVD借りてきたんだけど
 あ これ恐怖映画な」

俺の部屋にイキナリ入ってきた桃城が俺のガラステーブルに
DVDをこれでもかとドサドサと広げる

俺をおちょくるような顔は

かわらず俺の顔を覗きこんでいた





むかつく…
俺がキッと睨みを聞かすと

「あ 海堂怖いの苦手だっけ?
 あーー悪い悪い 怖い怖いはしまいましょうねー」

こんなガキ扱い許されるはずがない!
俺の性格をしっかりわかってやっている…


「怖くねえ!!見ればいいだろうが」

意地がでてしまう
思ったとおり にまりと満面の笑みを作った桃城は

じゃあ かまわねぇな とDVDをセットして
部屋の明かりを消した


「な なんで消すんだよ」

「不陰気いいだろーが」

「目が悪くなる!!」

桃城はソレに押し黙ると『でもまぁ』と続けて

「明るかったらお前の顔も見やすいだろうよな?」


それは恐怖におびえる俺の顔を意味するだろう



「…今日だけなら消しても 目はわるくならねえか」

それだけは駄目だ 
羞恥すぎる


「お…今日の海堂は話が早えーじゃねーの
 好きだぜぇ?そういうの…」

「死ね…」

地獄だ…

それでも映画はうむを言わさずに始まってしまった


本当に苦手なのだ
怖くて怖くて

俺じゃないみたいに、誰かにすがりたくなる

速く時間が進んでしまえ

電気を速く付けて
身体を楽にさせたい。

一人がたがた震えて


「海堂」

不意に声をかけられて隣をみる

そこに居たのは優しく微笑む愛しい人だった



「やっぱ寒いよな、こっち来てクンねー?」

ぽんぽんっと桃城は自分の足の間を叩く



「てめーがかわいそーだから…」
しょーがねえ としぶしぶの振りして桃城に膝を抱えてすっぽりはまる


背中に感じる桃城が暖かくてホッとした

そのとき
桃城のうでが俺をぎゅっと抱きしめた
「わっ…てめ 離しやがれ!」

「んー暖けー」

しまいにほっぺをスリスリとすり合わせてくる

それも暖かくてたまらなかった
できたらそのままがよかったけど


「あっも…うざってぇ…!!」

ぺしっと桃城の顔を叩く

「ったー…海堂落ち着いて映画見ろよ」

「テメーがだろー…」

そんなに映画集中したいの?
桃城はいちいち喋るたびに耳でささやく

これがまた…くすぐったくて堪らない

「てめーが映画借りてきたんだろーが…ぼけ
 耳が腐る離れろ」

「カッチーン…」

桃城はムカついたーと呟いた
そして
少し腕の力が緩んだ
そのときだった

「ひぁっ…!」

耳に濡れた感触が伝う
舐められた


「くぁー…クル声ー」

映画なんて止めていいことしよっか


俺のシャツのボタンをはずし始める手が憎たらしくて


暖かかった







「ちょっとだけ」



身体を押し込まれたソファー

映画なんて気にしなくなった


2008年10月4日

桃海 海堂の怖がりは神です!
ありがとう許斐先生!!

かみさまだああああ!!

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