桃海小説(短)

□俺が死ぬのはお前しだい
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血が滴るカッターナイフを握る

その手は震えから逃げられないことを知っていて
自然と手を開き

ナイフは落ち響く

頬は涙で濡れていた

愛した人を殺した




「ナイフから跳んだ血が頬に飛び散り…」


「おい 桃城!!やめろソレ!!!」


グロイ…
と海堂の一言で俺は 本を閉じた


「これグロイなーそんでどろどろの愛情劇ね」

「そんなもん どっから持ってきた」

海堂は本当に気持ち悪そうにそういった
グロイのが気持ち悪かったのか
それとも
曲がりくねったこの 愛情劇の内容か?


「これさ 友達からまわり まわってきたんだわ
 命がけの恋だのなんだのってなー」

ふーんとも言わない海堂に 俺は うわーっと半分諦めた


「あんさ 海堂」

「あ?」


ぼそりと呟いた


「お前なら俺を殺せる?それか自殺できる?」



この話はずっと一緒にいた恋人が最後他の人へいく話しだった
酷く愛した人が他の人のところへ

 
海堂はこちらを観ずに答えた


「なら逆に質問してやる」

「な に?」





『  俺を殺す方法をしってるか?  』


ぞっとした
それは重みが違う

俺とは重みが違う質問だった

それは海堂を殺す方法という訳だろう?
そんなのは嫌だ
そしたら海堂はこの隣にいなくなるのだ

温かさが無くなって

色もなくて

姿が見えなくて

探しても 探しても

ぜったい見つけられなくなる 

そういうことだろう?



「そんなんぜってぇヤダ」

「答えになんねーな」

「嫌だ」

「……じゃ さっきのお前の質問俺は嫌だ…」

「うん」



本当のところ 俺は自分が死ぬとしたらいつか分かってるんだ



海堂が俺の隣から居なくなった時



そんな事ぜったい嫌だから

ゆるせねーから



だから命がけで その命を守るんだ


「桃城」

「うん?」

「俺の殺し方」






『  お前が 俺の目の前から消えること…  』





俺達は命がけで守りあう


それは自分の命を守ると同じに…



隣からけしていなくなることが無いように…





2007年12月3日

命がけの桃海をツずる

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