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□伝言ゲーム
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「……は?」

銀時の突拍子もない言葉に、土方は目を見開いて固まってしまった。

「真選組の副長ともあろう人間が、仕事中に屯所に女の子連れこんで手ェ出すなんてよ。」

「ちょっ、ちょっと待てェェェ!!俺がいつそんな事したってんだ!?冗談もいい加減に…」

「とぼけないで下さい、土方さん!僕ら沖田さんから聞いてここに来たんですから。」

それまで様子を窺っていた新八がようやく口を開いた。

「…はっ?総悟?お前ら、山崎から連絡受けてチャイナを迎えに来たんじゃないのか?」

「いえ、連絡をくれたのは沖田さんですけど…」

「!」

土方はギロリと後ろにいる山崎を睨みつけた。

「…山崎、どーいう事だ?俺、お前にチャイナの事連絡しとけっつったよなァ?」

「えっ、あ、ハイ、俺もあの後すぐに万事屋に連絡しようとしたんですが…あの、沖田隊長が…」

山崎は頭を掻きながら気まずそうに言った。


『おう、山崎。慌ててどうかしたのかィ?』

『あ、沖田隊長。いえ、今万事屋のとこのチャイナさんが来てて…』

『チャイナが?何で?』

『日射病で倒れたらしくて、副長が連れてきたんです。今から万事屋の旦那に連絡して迎えに来てもらおうと思って。』

『…ふーん、土方さんがねェ?』

『あの、隊長…?』

『…山崎ィ、旦那には俺が連絡しといてやるよ。』

『えっ、イヤ、でも…』

『山崎、俺が信用できねェのかィ?』

『……よ、よろしくお願いします。』

『おう、任せとけィ。』


「…というワケでして。」

「ハァ、原因は総悟か…」

ようやく合点がいった土方は苦々しげにそう呟いた。
 

「…じゃあお前、神楽には何も…」

「する訳ねェだろ。俺は具合悪いアイツを運んだだけだ。」

ようやく銀時の殺気が消えたことに内心ホッとしながら、土方は胸ポケットからタバコを取り出して火をつけた。

「…で、総悟はお前らに何て言ったんだ?」

実はさっきからずっとその事が気になっていた。

屯所にやって来た時の銀時の剣幕を思い出す。

(そういやコイツら、さっき俺がチャイナに手ェ出したとか何とか言ってやがったな…)


『もしもし、旦那ですかィ?俺です。実は今、チャイナがウチに来てるんでさァ。』

『神楽が真選組に?』

『ええ、それで土方さんから旦那に伝言がありましてねィ。』

『伝言?』

『"チャイナは俺が預かっている。今隣で休んでるところだが、足腰が立たねェから屯所まで迎えに来い"だそうです。』


「なっ……!?」

土方は銜えていたタバコをポロリと落とした。

「僕もまさかとは思ったんですけど…屯所に来てみれば、土方さんが神楽ちゃんは自分の部屋で寝てるなんて言うもんですから…」

早とちりしちゃってすいません、と新八は申し訳なさそうにペコリと頭を下げたが、もはや土方の耳には入っていなかった。

(あの野郎…!その言い方じゃ、まるで俺が変態みたいじゃねェかァァ!!)

「あの、土方さん…?」

「あー…新八君、今はそっとしといてあげて。」

「はあ…」

(…あーあ。絶対コレ、後でとばっちり受けるだろうなァ。)

山崎は密かにそう確信しながら、深い深いため息をついた。

「…ああ、そうだ。旦那、チャイナさんのとこに案内しますんで…」

「おう。頼むわ、ジミー。」

そうしてその場に取り残されたのは、沖田への怒りに燃える土方ただ一人だけであった。

「総悟のヤツ…!帰ってきたら叩っ切ってやる!!」




end.
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