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□伝言ゲーム
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何がどうしてこうなったのか。

ただ一つ言えるのは、目の前の男が何か大きな勘違いをしているということだけ。

「…どーいう事か説明してもらおうか。」

低い声で自分を睨みつけてくる銀髪の男。

その後ろには、困惑気味に様子を窺っているメガネをかけた少年。

(…説明してほしいのは俺の方だ。)

土方は眉間を押さえながらため息をついた。
 


事の発端は、1時間ほど前のこと。

巡回中に道端で蹲っている朱色を見つけた。

すぐにそれが万事屋のところのチャイナ娘だと気づいたものの、面倒事はゴメンだと知らないフリをして通りすぎようとした。

のだが。

「……オイ。」

気づけば土方は声をかけていた。

「…んなとこで何やってんだ?」

内心後悔しながらもそう尋ねると、返ってきたのは何とも弱々しい声音。

てっきりいつものように毒舌が返ってくるだろうと思っていただけに、土方は少女の予想外な様子に思わず拍子抜けしてしまった。

理由を聞けば、傘を差さずに遊んでいる内に、いつの間にか曇っていた空が晴れて日が射していたらしい。

遊ぶのに夢中になり過ぎて、それに気づくのが遅くなってしまったのだと言う。

(バカだろ…)

土方は呆れたようにため息をついた。

しかし、このまま放っておくこともできない。

(…ったく、しょうがねェな。)

もう一度小さくため息をついて、神楽に日が当たらないように隊服の上着をかけてやる。

「……タバコ臭いアル。」

「…それくらい我慢しやがれ。」

土方は舌打ちを一つすると、小さな体を抱き上げた。

「とりあえず屯所でしばらく休んでけ。ここからなら万事屋より近いしな。」 

屯所に戻り、土方は自室に布団を敷くと、神楽をその上に寝かせてやった。

「お呼びですか、副長…ってアレ、チャイナさん?何でチャイナさんがここにいるんですか?」

「…具合悪そうだったから連れてきたんだよ。万事屋よりここの方が近かったからな。たぶん日射病だろうから、何か冷たい飲みモンでも持ってきてやってくれ。」

「わかりました。」

「あぁ、それから後でコイツのこと万事屋に連絡しといてくれ。たぶん一人で歩いて帰れねェだろうから迎えに来いって。」

「はいよ。」

そのまま土方は巡回を部下に任せて、自室で書類整理をすることにした。

そして、今に至る。

目の前の銀髪は、もはや不機嫌なんて言葉では言い表せないほどのどす黒いオーラを放っている。

(…つーか、殺気?)

土方には何が何だかサッパリわからない。

「…神楽は?」

「俺の部屋で寝てる。」

そう答えると目の前の男の殺気が一層膨らんだ。

(何でコイツこんなに怒ってんだよ…俺、何かしたか?)

そう思って考えを巡らせるも見当も付かない。

そもそも自分は具合の悪い神楽を介抱してやったというのに、感謝されることはあっても殺気を向けられる覚えはない。

「てか、テメェさっきから何なんだよ!?俺に言いたいことがあんならハッキリ言いやがれ!」

ついに我慢の限界がきた土方は声を張り上げた。

「…じゃあ言わせてもらうけど」

銀時の冷たい声が静かに響く。

「土方君さァ、ウチの神楽とどーいう関係なワケ?」
 
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