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□テレパシー会得
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「あっ!」

不意に神楽が声を上げる。

「ん、どうした?」

「私、今銀ちゃんが考えてることわかっちゃったアル!」

青い目をキラキラと輝かせて、神楽は嬉しそうに答えた。

「……へ?」

「だからァ…」

テーブルに両手をついて身を乗り出しながら、神楽は少し興奮気味に続ける。

「銀ちゃんが今何考えてたかわかったって言ったアル!ピンときたネ!」

「…ほォ、おもしれェ。じゃあ当ててみろよ。でもまぁ、お前にはわかんねェと思…」

「銀ちゃん、私のこと可愛いなって思ったダロ?」

「!」

いきなり図星を指され、銀八は思わず否定する事もできずに固まってしまう。

「やっぱりネ!!その顔は当たりアルナ?キャッホウ!!」

スゴイスゴイと嬉しそうにはしゃぐ神楽に、銀八は小さく咳払いをしながら赤くなった顔を背けた。

「銀ちゃんは?」

「…あ?」

「わかるアルか?」

いつの間にか神楽がテーブルを回って銀八の隣に座っていた。

そのことに少し驚きつつも何が?と聞き返せば、神楽が焦れったそうに声を上げる。

「私が今考えてることアルヨ。銀ちゃん、当ててみて。」

期待に満ちた目で見つめられ、銀八は困ったようにガシガシと頭を掻いた。

「…つーか、神楽ちゃん。これ最初と趣旨がちがくね?」

元々は、どんな超能力が使えるようになりたいか話していただけなのに。

「何もわざわざ実践しなくてもよォ…」

「そんなこと言って銀ちゃん、本当はわかんないんダロ?」

「…あん?俺を誰だと思ってんの?わかるに決まってるだろ。」

「じゃあ当ててみてヨ。」

ネ?と可愛く首を傾げる仕草に、銀八はまた不意を衝かれてドキッとしてしまう。

(…なんか俺、さっきからコイツに振り回されてばっかじゃね?)

しかも神楽にその自覚は全くない。

それがまた銀八には面白くなくて。

「…じゃあ、今から俺がお前の考えてること当ててやらァ。」

そう言うなり、銀八は神楽の白い手を取って口付けた。
  
「ぎっ、銀ちゃん?」

真っ赤になって引っ込めようとする手を掴み、後退りする体を引き寄せて。

何かを言おうとしている小さな唇を、銀八は声になる前に自分のそれで塞いだ。

「んっ…」

神楽は驚いて銀八の胸を押し返そうとするも、ビクともしない。

角度を変えて何度も口付けられていく内に、神楽はいつの間にか縋るように銀八の白衣を握りしめていた。

そうしてどれくらい時間が経ったのかわからなくなった頃。

神楽はようやく銀八の腕の中から解放された。

「ぎ、銀ちゃ…」

息を弾ませながら自分の名前を呼ぶ神楽に、銀八は口の端を上げて。

そして。

真っ赤になった耳元に口を寄せ、低い声で囁いた。

「…神楽ちゃんさ、今先生の事ものすごーく好きだって思ってるでしょ?」

「…っ!」

「ホラな、当たりだろ?」

ニヤリと笑ってそう言うと、銀八は再びデスクに向かった。

(…まぁ、ちょっとズルかったかな?)

自分の大人げなさを少しだけ反省しつつ、だけども銀八はスッキリした表情で残っていた仕事に取りかかり始めた。

そして、その場に1人残された神楽は。

そんな銀八の後ろ姿を真っ赤な顔で恨めしげに見ながら、銀八には聞き取れないほど小さな声で呟いた。

「…ちょっとどころじゃないネ。銀ちゃんのバカ…」




end.
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