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□愛してた、愛してる
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「…っていう夢見た。」
「…それでこんな夜中に人を叩き起こしたって訳アルか?」
眠い目を擦りながら、神楽は呆れたようにため息をついた。
「とりあえず狭いから出てヨ、銀ちゃん。」
「やだ。」
「やだって…」
抱きしめる腕にさらに力を込めると、神楽はもう一度小さくため息をつきながら俺の背中に腕を回した。
「ねえ、銀ちゃん?」
「……何。」
「私、ちゃんとココにいるでしょ?」
ポンポンと子供をあやすように背中をゆっくり叩きながら、神楽は優しく囁く。
「私はずっと銀ちゃんの傍にいるネ、これからも。だから私、一人前のえいりあんはんたーになって戻ってきたんだヨ?」
そう言って俺の顔を覗き込むと、神楽は困ったように笑った。
「だから銀ちゃん、泣かないで?」
「……泣いてねェよ。」
本当は鼻の奥がツンとしたけれど。
それを誤魔化すように、神楽の体を抱き抱えて押し入れを出た。
「ぎ、銀ちゃん!どこ行くネ!?」
「俺の布団。」
「…一緒に寝るアルか?」
「イヤか?」
「イ、イヤじゃないけどでも…」
「でも?」
「何かちょっと恥ずかしいネ…」
そう言って照れて俯いてしまった神楽が愛おしくて。
朱色の髪に口付けを落としてそっと囁いた。
今までも、そしてこれからもずっと。
「愛してるよ、神楽。」
end.