clap

□愛してた、愛してる
2ページ/2ページ



「…っていう夢見た。」


「…それでこんな夜中に人を叩き起こしたって訳アルか?」


眠い目を擦りながら、神楽は呆れたようにため息をついた。

「とりあえず狭いから出てヨ、銀ちゃん。」

「やだ。」

「やだって…」

抱きしめる腕にさらに力を込めると、神楽はもう一度小さくため息をつきながら俺の背中に腕を回した。

「ねえ、銀ちゃん?」

「……何。」

「私、ちゃんとココにいるでしょ?」

ポンポンと子供をあやすように背中をゆっくり叩きながら、神楽は優しく囁く。

「私はずっと銀ちゃんの傍にいるネ、これからも。だから私、一人前のえいりあんはんたーになって戻ってきたんだヨ?」

そう言って俺の顔を覗き込むと、神楽は困ったように笑った。

「だから銀ちゃん、泣かないで?」

「……泣いてねェよ。」

本当は鼻の奥がツンとしたけれど。

それを誤魔化すように、神楽の体を抱き抱えて押し入れを出た。

「ぎ、銀ちゃん!どこ行くネ!?」

「俺の布団。」

「…一緒に寝るアルか?」

「イヤか?」

「イ、イヤじゃないけどでも…」

「でも?」

「何かちょっと恥ずかしいネ…」

そう言って照れて俯いてしまった神楽が愛おしくて。

朱色の髪に口付けを落としてそっと囁いた。


今までも、そしてこれからもずっと。


「愛してるよ、神楽。」




end.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ